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「『認知バイアス』とはいわば“脳のクセ”。直感でついつい思ってしまう、思考や判断の傾向のことを言います。人は他人のクセにはすぐに気づきますが、自分のクセには気づかないことが多い。つまり『自分のクセに無自覚である』という事実に無自覚なんです」

 

こう語るのは、東京大学大学院薬学系研究科教授で、脳研究者の池谷裕二さん。間違いであることを、直感で正しいと判断してしまう認知バイアスについて、わかりやすく80問のクイズ形式で解説した著書『自分では気づかない、ココロの盲点 完全版』(講談社)をこのたび出版した。

 

脳はいろいろなクセを持っているという。そこで、池谷さんに「脳のクセ」について解説してもらった。こんな思考の経験、誰にでも、心当りがあるのでは?

 

【購入後の理由付け】

買ったあとで、「買ってよかった」という理由をあれこれ考えて、自分を納得させる傾向のこと。

 

「たとえば、買いたいブランドのいちごが2種類あったとします。どっちを買うか迷ったあげく、Aというブランドのいちごを選びました。家に帰っていちごを食べて『おいしい。やっぱりこっちを買ってよかった』と考えます。そして買わなかったBのブランドのいちごについて『きっとあれはおいしくなかったはずだ』と否定することで、自己を正当化します(笑)」

 

【情報バイアス】

すでに知っていて、調べたからといって何も変わらない情報でも、気になって何度も確認したり見直したりする傾向のこと。

 

「子供をお受験で私立の小学校に入学させたあとでも、ほかの小学校のことについて調べたりする人、いませんか?その情報を知ったからといって何も変わらないのに、気になってしまうんです。お隣の旦那さんの給料がいくらなのか、気になる。でもそれを知ったからといって、自分の生活は何も変わらないですよね」

 

【ジンクピリチオン効果】

意味がわからない言葉でも、専門用語だというだけで妙に説得力を感じてしまうこと。「ジンクピリチオン配合」と書かれたシャンプーが売れたことから、名づけられた。

 

「『マイナスイオン効果』というのもよく聞きますが、それが何であるか理解している人はいないでしょう?そもそも『マイナスイオン』なんて存在しないんです(笑)。ところが、それがなんとなく体にいいと判断してしまう。またスーパーなどで『◯◯さんが作ったトマト』のように、生産者の顔写真入りで野菜が売られていたりしますが、これだと、そもそも◯◯さんなんか知らないわけです。買う側にとっては誰でもいいのですが、名前が入っているだけで、いいものだと思ってしまうんです」

 

【単位バイアス】

端数が出ることを避けて、区切りのいいところを快適に感じる傾向。

 

「ケーキは、どこのお店でも1ピース単位で売られています。だからお店で『1ピース半ください』とは、注文しませんよね。ケーキの大小にかかわらず、ケーキの単位は1ピースが適量だと思ってしまうんです」

 

【パーキンソンの法則】

どれだけ容量を増やしても、その分だけストックを増やしてしまう傾向のこと。

 

「ものが入るうちは、どんどんそこにものをため込んでしまうようなことです。冷蔵庫の中には、つねに食材がいっぱい。本棚を増設すると、増設した分だけ本も増加する。夫の給料が増えた分だけ、妻の消費も増える……。だから、家計はいつまでもカツカツなのかもしれません」

 

思考の落とし穴にはまらないためにも、自分の「認知バイアス」を確認しておこう!