「家事を手伝ってもらうのは“手抜き”というのは、女性が活躍する現代においては、古い考え方ともいえます。一人で背負わず、“もう一人の主婦”に頼み、自分は働きに出る時代です」
そう話すのは、全国家事代行サービス協会の山田長司会長(「ミニメイド・サービス」社長)だ。近年、成長を続けている家事代行サービス業。「ダスキン」では’89年から始めた家事代行事業が年々成長し、現在の売り上げは100億円超え。そんな中、「安心・安全・安価で家事代行を利用できる目印に」と、今年2月、「家事支援サービス認証制度」がスタートし、5社が認定された。
「家事スキルはもちろん、安心かつ継続して利用できる安全面、教育や研修の内容など審査基準は厳しい。家事代行会社からも『自信を持って審査を受けたが、指摘事項が多く驚いた』との声があがったほどです」(山田会長)
では、家事代行とは具体的にどんなサービスなのだろう。
「たとえばハウスクリーニングは換気扇の汚れなど専門技術のあるスタッフが、専用の機材や洗剤で清掃します。一方、家事代行は利用者のライフスタイルに合わせて、日常的な掃除や洗濯、料理などをお手伝いします。掃除用具や洗剤も、ご自宅のものを使います。働く女性が利用しやすいよう、料金も時間単位で安価です」(山田会長)
そこで本誌では、「家事支援サービス認証制度」を取得した会社に、主婦の求人に特化した「ビースタイル」の研究機関「しゅふJOB総研」が推薦する会社を加えた、「ベアース」「ミニメイド・サービス」「カジタク」「ダスキンメリーメイド」「マエストロサービス」「セコム」「ミライド家事代行サービス『プレジール』」「エンジェルメイド」の8社を比較してみた。
実際にどんな人が来てくれるのか気になるところだが、各社、研修を受け、審査に合格した家事経験のある女性スタッフが多い。「ベアーズ」では座学と家事実技まで7ステップの研修を受ける。「ミニメイド・サービス」は研修最終日に試験があり、合格者のみ作業に入ることができる。「ダスキン」は4月16日、フィリピンのスタッフ8人を採用した。現在は日本人が多いが、今後、国際化していくかもしれない。
また、作業中に家にある物を壊してしまった場合。家事代行サービス会社は、ほとんどが損害補償保険に加入しているので、対応もしっかりしてもらえるとのこと。たとえば「カジタク」は1億円まで保険対応が可能。「ベアーズ」は、月額280円の消耗品補償オプションがあり、家事に使うアイテム全般が補償の対象となっている。
仕事で外出している間に家事をしておいてもらえると助かるが、留守中に利用することは可能なのだろうか。
「定期利用であれば、初回のみ在宅が必要で、以降は不在時でもサービスを受けられるのが基本。『ミニメイド・サービス』では、2回目からは鍵を預かったうえで『預かり証』を発行し、厳重に管理しています」(山田会長)
8社のうち、在宅時限定の「セコム」以外は、同様の対応をしてもらえる。
そして気になる料金だが、月2回、1回2時間の定期契約で、たとえば「エンジェルメイド」は月額1万3,000円台。月額2万円以内で収まる社も多い。ほとんどのサービスが「2時間」「3時間」と時間を区切って作業をするのも、家政婦さんより安く済む理由だ。
「働く女性の、忙しい毎日の中での家事ストレスを軽減するためには、安価であることも、『家事支援サービス認証』の条件です」(山田会長)
全国展開している「ダスキン」「ベアーズ」があれば、地域密着型の「ミライド」「カジタク」「マエストロサービス」や、関西拠点の「エンジェルメイド」もあり、サービスエリアはさまざま。だがどこも重視しているのが、スタッフの「信頼できる」人柄。とはいえ、いきなり定期契約を結ぶには勇気がいる。そこで、まずは単発で頼める「スポット」プランがオススメ!どんな人が来て、どんなふうに働いてくれるのかを見極めることもできる。
「ミライド」(2時間5,000円)、「マエストロサービス」(5,000円)、「ベアーズ」(3時間9,000円)など、定期利用を考えている人向けに「お試しプラン」を用意しているところもあるので、ぜひ利用してみたい。
「お子さんがスタッフに懐いたりすることもあって、家事という営みの中で生まれる関係は強いと実感することが多いですね」(山田会長)
フツーの主婦でも利用しやすくなった家事代行サービスが、女性と仕事の関係を変えていくのは間違いない。