「日本には’00年ごろ登場したカーシェアリング(会員登録した人が利用料金を払って、車を共同利用する仕組み)は、’10年ごろから急速に広がりました。交通エコロジー・モビリティ財団によると、今年3月までの会員数は約84万6,000人。’10年の約1万6,000人から、6年間で約53倍に増えています」
そう語るのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。昨年、軽自動車税が上がり、今春からガソリンも値上がり傾向。萩原さんは、車はちょっと乗るだけで、駐車場代が高い住宅密集地に住んでいる人に、カーシェアリングの検討を勧める。従来のレンタカーとの違いは2つ。
「1つは、予約などの利用方法が簡便なことです。カーシェアリングを利用するにはまず、会員登録をします。登録手続きはスマホなどでできますし、店舗での手続きや説明会などもあります。予約はスマホや携帯から、車の空きがあれば乗る直前でもOK。乗るときは、手続き完了後に届く会員カードを、車にかざすとドアが開きます。エンジンキーは車内にありますから、すぐに出発できます」
利用時に署名などの事務手続きがないので「急な雨だからお迎えに」など、突発的な用事でも手軽に使える。
「もう1つは、短時間刻みの料金設定で割安なことです。まず、カーシェアリングは入会金が1,000〜1,500円必要です。が、入会金無料キャンペーンも多いのでご確認を。次に、固定費として月会費が約1,000円。これは利用料金として使えます。ただし、利用しなかった月は損になりますから、注意してください。そして、利用料金です。例えばタイムズカープラスでは、一般的な国産車だと15分で206円です。12時間パックなど長時間借りる場合は、走行距離に応じた距離料金も必要ですが、短時間利用にはかかりません。また、利用料金はガソリン代込みですから、追加料金がなく安心です」
ソニー損保が実施したアンケート調査(’15年)によると、車の維持費は、軽自動車で年14万4,000円。これは、ガソリンなど燃料費、任意保険の保険料、駐車場代、修理費などを含むものだ。加えて、軽自動車の自動車税が年2万9,500円。2年ごとの車検が自賠責保険や税金なども含めて約8万円とすると、年4万円。自動車の取得費用を100万円として10年間乗るとすると、年10万円負担する計算になる。
「これらを合算すると、軽自動車を1年間維持するための費用は、約30万円です。お子さんの塾の送り迎えで1時間(月8回)、そのほか月2回の買い物(1回、2時間)といった利用者の場合なら、カーシェアリングの費用は年約12万円。マイカーを手放すと、年18万円も固定費を削減できるのです」