「ここ、亀有のあたりは江戸時代には貨幣の鋳造を行う『銭座』が遭った土地。昭和40年ごろ、住宅街の工事が始まると、土の中から続々と貨幣が出てきたそうです」
180センチの長身を黒のロングコートに包み、船上で下町の歴史を語るのは、都内の日帰りツアーをメインに催行する「ぽけかる倶楽部」所属のガイド・青柳佑馬さん(36)。そのよどみない語り口に、参加者らは深くうなずいたり、感心したりしながら耳を傾けている。
初めて参加したという60代の女性は「声がステキ!話もうまくて、聞き飽きないわ」と声を弾ませた。青柳さんの話術と甘いマスクにほれ込み、リピーターになる女性客も少なくない。なかには、10回以上参加している超常連の女性もおり、「青柳さんがガイドするツアーはいつですか?」との問い合わせもたびたびある。
今では人気ガイドとして注目を集めるようになった青柳さんだが、じつは元役者という経歴の持ち主。20代のころは、舞台やテレビドラマに出演しており、時代劇俳優になるのが夢だった。29歳のとき、ぽけかる倶楽部のスタッフとして国会議事堂ツアーを担当したのがきっかけで、ガイドとしての道に進む。
「ガイドで心がけているのは、誰が聞いてもわかりやすい言葉で説明すること。お客さまの雰囲気を見て、話すネタも変えます。日々、違うお客さまの前に立つという点では、役者として舞台に立っていたときと、共通するものがあるかもしれません」(青柳さん)
イケメンなうえに真面目。おムコさんに欲しいようなハンサムガイドだ。
「お客さんに楽しんでいただくには、まずは、添乗員である自分が楽しく過ごすのが大事だと思うんです」
そうフレッシュな笑みを浮かべ話すのは、読売旅行さいたま営業所入社3年目のイケメン、谷喜博さん(25)。窓口でのツアー申し込みの応対をはじめ、企画立案、添乗まで幅広く仕事をこなしている。
「ツアーでは、朝1回、昼1回、帰りに2回、お客さんから笑いをとるのが目標です」(谷さん)
その実直な仕事ぶりに「頼りになる」「また谷さんのツアーに参加したい!」と、参加者からのラブコール多数。ツアー終了後に、お礼状をもらうことも多いのだとか。自ら企画する婚活ツアーでは、添乗員の役目だけでなく、“キューピッド役”も引き受ける。
「なかなか女性に声をかけられないでいる男性参加者の方には、話すきっかけづくりをしたり。今まで、3組のカップルから結婚報告をいただきました。添乗員冥利に尽きますね」(谷さん)
これまでには、谷さんの名前を冠したミステリーツアーも催行。配属1年を記念した「新入社員 谷くんからの100のおもてなしミステリー」では、ツアー内容の充実ぶりも手伝って、なんと約1千500人が参加した。
「今では申し込みの電話に出ると、『あぁ、谷くんね!今度は谷くん添乗のバスに乗りたいわ』とのお言葉もいただきます」(谷さん)
そんな気遣いピカイチでイケメンの2人に癒されたい人は、それぞれの情報をチェックして、ツアーに参加してみてはいかが?