「とくに妊娠・出産シーズンである春から秋にかけて、膨大な数の赤ちゃんねこが行政施設に持ち込まれます。手のかかる乳飲み子を、行政職員だけで救い続けることは難しく、結果、ほとんどのねこが生後まもなく殺処分されているというのが現状です」(フォトジャーナリスト、動物福祉ネットワーク代表の児玉小枝さん)
熊本市動物愛護センターは、自分で食事や排せつができない赤ちゃんねこのお世話をする「ミルクボランティア」を募り、全国に先駆けて、ねこの殺処分ゼロを実現。そのようすを取材した書籍『赤ちゃんネコのすくいかた』(集英社 みらい文庫)が反響を呼んでいる。
「小学5〜6年生向けの児童書なのですが、大人の方にも読んでいただいているようで、すごく身近なテーマなのだと改めて感じました」(担当編集・山下みのりさん)
著者の児玉さんは、全国でねこの殺処分ゼロを目指すためには、“捨てられる命を減らす”“捨てられた命を救う”という、両面からのアプローチが必要だという。
「行政施設に持ち込まれた赤ちゃんねこを救っていくためには、民間のミルクボランティアの力が必要不可欠です。また、これからねこを飼いたいと思われている方は殺処分されるかもしれないねこを家族に迎えるという選択肢も」
また、施設に持ち込まれるねこの大半は、不妊手術をしていない飼いねこや、野良ねこが産んだ赤ちゃんねこだといい、飼いねこは「不妊・去勢手術」「完全室内飼育」すること、野良ねこは「地域ねこにしていく」ことが、捨てられる命を減らすカギになると続ける。
わたしたちひとりひとりの意識の変化が、動物の命を守ることにつながるようだ。