女性の職場復帰率100%!福井県「子育てモデル企業」の実態
「私は『女性は宝!』だと思っています。うちは造園業で専門技術を身につけるのに1年かかります。そこには男女の差はありません。庭のデザインなどは、きめ細かい女性ならではの能力が必要ですしね」と話すのは、このたび福井県から『子育てモデル企業』と認定された、福井市にある造園業の会社『しばなか』の中村潤一社長。
福井県は今年の2月、全国で初めて、性別を問わず企業で働き一生で持てる子供の数、『企業子宝率』の調査結果を発表した。福井県内で回答があった297社のうち『企業子宝率』が2.0を超える企業は7社。その7社を福井県が『子育てモデル企業』として認定したのだ。
もともと福井県は『幸福度日本一』と呼ばれた地域。それは、共働き率や女性の就業率が全国1位。3世代同居率や1世帯当たりの年間収入が平均734万円で全国2位。さらに待機児童率ゼロという、都市部で働くママたちにはうらやましいデータも。
『しばなか』の女性スタッフが出産後に職場復帰する率は、なんと100%。勤務時間も自由に決めることができ、子育てや家庭の事情に合わせて1日8時間の人もいれば、5時間の人もいる。そんなシステムを始めたきっかけは、ガーデンデザイナーで1級造園施工管理技士等の資格を持つ勤務12年の中堅社員、内山明子さん(35)の存在だった。
「7年前に彼女は結婚が決まったとき、『辞めさせてください』と言ってきました。一生懸命にキャリアを積んできた女性が、結婚や出産で仕事を辞めるのは本当にもったいない。それが世の中の常識になってはいけないんだ、と。それまでは私の頭の中にも『8時〜5時』という感覚しかなかったんですね。だから、そこから変えてみようと」
そこで、中村社長は内山さんに「出社可能な時間だけでもいいから、辞めないでほしい」と言ったという。内山さんも今、その言葉に心から感謝しているそうだ。