リアル梅ちゃん先生!「神の手を持つ女医」乳腺外科医編
「外科の分野は、女性にはたいへん厳しい労働環境ですが、技術と信念と体力、そして女性らしいデリカシーを兼ね備えた、まるでNHK連続テレビ小説『梅ちゃん先生』を地で行く女性医師がいます」と話すのは、聖マリアンナ医科大学助教授を経て、現在は神経内科医および作家として活躍する米山公啓さん。
男性社会の外科分野で女性が第一線で活躍するには、技術的に秀でていることは必須。そのなかで注目を集めている”神の手を持つ女医”がいると米山さんはいう。昭和大学医学部(東京都)・乳腺外科准教授の明石定子先生はその1人。これまでに2千例を超す手術経験があり、現在も年間100例をこなしている。
乳がん治療の乳腺外科は女性医師を希望する患者が多い分野だが、第一線で活躍する女性医師は意外に少ない。明石先生がこれまで執刀したうちの約7割は乳房温存術。だが、明石先生は無理に乳房を温存して、がんを取りきれずに再発してはなにもならないと語る。
「数年前から乳がん全摘手術後の乳房再建手術は保険適用になりましたし、技術も日進月歩。ただ患者さんには手術後の自分の乳房のイメージがわからないので、判断がむずかしい。そこで以前から、乳房温存、全摘後の乳房再建を問わず、術後の患者さんの写真を撮り続けてきました。いまではある程度、術後が想像できるだけの写真が揃っています。それをもとに、乳房温存のリスクを含め、患者さんと話し合って、最終的な手術方法を決めることにしています」
女性ならではのきめ細やかな対応にも定評がある明石先生。メスを入れる場所も、乳房によって乳輪のふちや自然に垂れていて隠れる部分など、いちばん目立たない場所を選んでいる。