消えゆく女子大の中で就職率2年連続1位「昭和女子大」の実力

「いま、女子大は非常に苦しい状況に立たされています。社会に通用する力を育てられるかが、これからの女子大の勝負どころです」と語るのは、『女性の品格』の著者で、昭和女子大(東京都世田谷区)の第8代学長を務める坂東眞理子さん。昭和女子大は卒業者数1千人以上の女子大でこの2年間、就職率1位をキープし続けている。

少子化で学生数が減るなか、名門『東京女学館大』の閉校でその経営に注目集まった女子大。だが、坂東さんはそれにより女子大の存在意義はむしろ高まっていると話す。女子大のメリットとはいったい何なのか?

「教員と学生の距離がとても近いので、相談しやすい環境にあります。専門分野についても、丁寧に教育してもらえるのは強みですね。また、先輩後輩との結びつきが強いのもメリットのひとつ。たとえば『上司は男性社員のことは育てても、女性社員は放ったらかしにしがち。それは、単に女性を育てることに上司が慣れていないだけ。だから、めげずに自分で覚えなさい』という助言をしてくれるのも、先に社会人になった女性の先輩です」

昭和女子大では、昨年から『社会人メンター制度』を導入。働く女性による学生向け相談会を定期的に開催している。学生からは、それぞれがあこがれる職業の現実を具体的に聞き、準備できる、と好評だ。また坂東さんによれば、年齢も考え方も違う先輩と会話することで、コミュニケーション能力を磨くこともできるという。

「もともと、男性と比べて女性は共感力が高く、コミュニケーションが上手です。ですから家庭で子供を育てるだけでなく、社会で部下を育てたり、上司のサポートを求められることが多いんです。それを拒否するのではなく。仕事のレパートリーと捉え、プロフェッショナルの世話役になるという選択肢も持てるようになってほしい」

そして、企業に広がるグローバル化の波も、女性にとって『追い風』だと坂東さんは分析する。

「男性は安定志向ですから、グローバル化は内心、怖いの(笑)。女性のほうがチャレンジすれば可能性の舞台が広がるわけです。ぜひ、世界に通じる女性を、わが校でも育てていきたいと思い、グローバルビジネス学部を設置しました」

これからの女子大は、箱入り娘とは真逆の、世界に羽ばたく働きマンを育成する場として、期待されそうだ。

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