昨年10月に、新制度として始まった「サービス付き高齢者向け住宅」。1年で登録戸数は約7万1千戸(’12年9月時点)に急増している。そこで、経済ジャーナリストの荻原博子さんに、その内容を紹介してもらった。
「まず、気になる利用料は、施設によっても利用する方の健康状態によっても異なります。一例として、要介護3の方が首都圏で入居し、介護サービスを受けながら一人暮らしをした場合を紹介します」
月額賃貸料が11万円、食費4万5千円、家事代行サービス(掃除、洗濯、食器洗いなど月4回)と介護保険の自己負担分(身体介護週12回、そのほか福祉用具のレンタルなど)計4万円で支出は月額19万5千円となります。介護がいらない人は賃料のみの負担となります。
一般的な賃貸住宅と同様、敷金が発生する「賃貸借方式」のほか、有料老人ホームなどで導入されている、入居時に一時金を払う「利用権方式」の2つがあります。後者は前払金が発生するので、今後は賃貸借方式が主流になるでしょう。有料老人ホームに比べ、費用は安くプライバシーもあるので、さらに需要が増えていく可能性も高いと思います。
しかし、費用が安いのはいいのですが、今後、施設の質に格差が生じることにつながりそうです。高齢になってから、何度も住み替えるのは困難ですから、入居時に一生住めるかどうか、見極めることが大切。国が規定する細かい最低要件を満たしていることは当然ですが、そこにプラスしてどのような介護・医療サービスが付いているかがポイントです。
医療体制や、いつか要介護状態になったときどこまでケアしてもらえるか。深夜の医療体制も、何かあったときに駆け付けてもらえるか、またターミナルケアから看取りの体制まで、あるのとないのでは大違いです。優良で価格も良心的な施設は、満室状態が多いといいます。利用者の方の評判などを調査して、よくよく見極めることが肝心です。