鹿児島県の最南端の離島・与論島。人口5,200人の小さな島は1月初めから始まった特産のサトウキビ収穫の真っ最中。その収穫の手伝いに4泊5日の日程で、援農企画『サトウキビ収穫 快汗!猫の手援農交流隊』14人が参加した。
「交通費、宿泊費は完全自己負担。労働報酬0円。昼食のみ農家負担。いわゆる観光農園とか農業体験とは別世界。本当の農作業ボランティアをやってもらっています。正直きつい単純作業です」(主催する社団法人『全国農協観光協会』の小林裕之さん)
同協会では、現在、年間19カ所、23回の援農ボランティアを実施。年間500人ほどが参加している。’12年6月実施の『藤野町茶摘援農隊』などは定員の4倍の申し込みが殺到。抽選の末、キャンセル待ちが出るほどの人気だ。参加者の中心は団塊世代。最近はとくに女性の1人参加が目立つという。
今回の参加者は首都圏から11人(男4人女7人)、関西圏から3人(女3人)。夫婦参加が1組で、あとは男女とも1人参加。年齢は57歳から76歳まで。離島のため航空運賃が割高ということもあり、首都圏から7万9千円、関西圏から7万5千円と参加費は決して安くない。
滞在中5日間のうち、農作業は中3日間。3〜4人ずつのグループに分かれ、4つの農家の1反歩(300坪)ほどのサトウキビ畑で作業。専用のカマで、出荷する茎の部分だけを残して葉、根を切り落とし、20本程度ずつ束ねていく。
ここ6年間、援農隊にハマり、ほとんどの作業に参加したという伊藤照久さん(66)はその魅力を次のように語る。
「60歳で退職して、テニスや乗馬など体を動かすことをいくつもやったけど、援農に勝る充実感はなかった。みんなもの好きだと思うかもしれないけど、作業終了日に、農家の人から『助かりました。また来年もお願いします』という言葉を聞くのがなんとも言えない喜び。やったことがない人にはわからないよ」
今回の与論島は交通手段が限られていることもあり、東京と大阪からのツアー形式だったが、ほとんどの援農隊は現地集合、現地解散。それでも多くの人がやってくる。
「いま実施されているなかで、一番人気は長野県中野市のりんご収穫。毎年、摘果作業と合わせのべ300人以上が参加しています」(小林さん)