現在、静かなブームとなっている自分家系図作り。そこで、私たちにもできる家系図作りの手順とコツについて、『戸籍を読み解いて家系図をつくろう』(日本法令)の著者である、行政書士の清水潔さんにアドバイスしてもらった。
「まず、自分の戸籍を取ることからスタート。戸籍は、本籍のある市区町村で入手できます。戸籍証明書等請求書の記入欄で、全部事項証明(謄本)にチェックを入れて、戸籍を請求してください。本籍地が現住所から遠く、役所に出向けない場合は郵送での請求もできます」(清水さん・以下同)
本籍地がわからない人は、いま自分が住民登録をしている役所で『住民票の写し』を取る。その際、請求用紙に本籍と筆頭者名を表示するようチェックを入れる。自分の戸籍を取得すれば、そこから父母の戸籍を取得するための情報が得られ、次に父母の戸籍を取得する。さらにそこから祖父母の戸籍……という流れで、戸籍をどんどん遡っていく。
「自分が記載されている戸籍から順番にたどっていき、途中が抜けてしまわないことが肝心です。たとえば、父親の曽祖父の戸籍を取得する場合、自分と祖父の情報が出ている父親の戸籍。曽祖父の情報が出ている祖父の戸籍が必要です。自分が曽祖父の直系であることを証明するために、請求書と一緒にこれらの戸籍情報をコピーし、曽祖父の本籍がある役所に直接行く。もしくは、郵便で請求します」
現在、入手可能な直系の先祖の戸籍で、もっとも古いものは、“明治19年式戸籍”と呼ばれるもので、それ以前の戸籍を調べることができない。また、戦争による空襲で、昔の戸籍が残っていないところもある。したがって、古い戸籍から直系親族を遡れるのは、せいぜい4代前の高祖父母ぐらいまでが限界のようだ。さらに、明治、大正の戸籍は読み解くのが難しく、次にたどるべき本籍地を間違う可能性もあるそうだ。
「たとえば、祖父母や曽祖父母の戸籍で、出生・死亡事項の欄に、本籍地っぽい住所が記載されている場合があるのですが、その欄に記載された住所は、次に追っていく本籍地ではありません。次にたどる本籍地を間違えないためのポイントは、入籍・分家・婚姻・分籍・転籍・家督相続などの記載がある住所をしっかりとチェックして、読み取っていくことですね」
清水さんによると、“昭和23年式戸籍”以前は、『家制度』(家の代表である“戸主”を中心に、甥や姪、親戚なども同じ家で、ひとつの家族として戸籍に入っていた)だったので、直系親族ではない人たちの名前が、戸籍にいっぱい出てくるそうだ。
「戸籍に記載されている本籍地は、あくまでも書類上の場所であって、ご先祖様が、実際そこに住んでいたかどうかまではわかりません。それと戸籍だけでは、どういう人物だったかもわからない。ですので、時間があれば、先祖の本籍地をぜひ訪ね歩いていただきたいですね。そこがどんな場所なのか。そこでどのような生活をしていたのか。その地に立てば、何か自分とのつながりを感じるような気がします」