西暦600年ごろから続いてきた伝統行事、お盆。歴史が長い分、地域差がとても大きい。結婚してから相手の出身地の風習に驚いた人も多いのでは?そこで「地域差にビックリしたお盆習慣」を紹介。「県民性博士」として日本人の民族性を研究する矢野新一さんが解説してくれた。
【北海道・子どもたちによる“和製ハロウィーン”イベント】
「『ローソクもらい』という北海道で行われる風習です。子どもたちがちょうちんを持って近所を訪ね歩き、『ローソク出せー出せー』と歌ってローソクや菓子をもらいます。故人の徳を高める意味を持つ行事です。7月7日と、8月7日からお盆にかけて行われ、意味合いは違うけれど、行事自体はハロウィーンと大差ありません」
【岩手県・きゅうりとなす……じゃなくてフェラーリで霊をお迎え!!】
「(山形県)庄内地方の風習に、野菜や竹串などを刺してつくる『精霊馬』をかざるというものがあります。これを軒下にぶらさげたり、仏壇にお供えしたりする、全国的にも広まっているものです。これを基に車のオモチャを飾っているのではないでしょうか?岩手県一部は東北随一の大藩だった伊達藩の地だけに、プライドが高い人が多い。どうせ並べるなら高級外車を、という意味あいなのでは?」
【神奈川県・家の前に謎の砂箱が……】
「静岡県などでも行われている『砂盛り』です。『盛り塩』とは違い、玄関の両はじに置くわけではなく、どちらか一方に置く。故人が帰宅するときの目印になるようにと作られます」
【長野県・家の前でキャンプファイヤー!】
「長野県で昔から行われている『どんぶや』という行事です。家の敷地内で白樺の木を燃やすことがならわしですが、現代ではいろんな木を使っている家が多いです。故人があの世から帰ってくるときに迷わないための習慣です」
【三重県・デコ番傘で練り歩く!】
「この1年で亡くなった人の名前を番傘に書き、供養する習慣です。三重県志摩市の『波切の大念仏』という祭りが有名。傘には故人の愛用していたものを中心に、いろんなものをぶらさげるので、1年たって故人のことをあらためて思うことができます」
【長崎県・まるでヤンキー!?お墓で花火ざんまい】
「精霊流しの習慣(もともとは川べりで花火をする)が基になっていると思われますが、長崎県では墓場で花火をします」
【沖縄県・真夜中に行われるあの世への送金】
「沖縄県ではお盆のときに仏壇の前で『ウチカビ』という黄色い紙を燃やします。ウチカビとは、あの世で使えるお金です。沖縄県ではスーパーで売られるほど一般的なものです。これを燃やすことで、あの世にいる故人に送金しているという意味を持ちます」