いまだに続く酷暑は、確実に日本の農作物にも影響を与えている。キャベツやきゅうり、レタスをはじめ、いまとにかく野菜の値段が高いのだ。この野菜価格の高騰は、まず、7月に起きた西日本豪雨の影響が考えられるという。経済評論家の加谷珪一さんがこう解説する。
「西日本豪雨では、まず、野菜の出荷・流通に大きな痛手を負いました。本来この時期に出荷すべき“旬”の野菜が、世紀の大豪雨によって供給できなかった。たとえばキャベツは、1キロあたり257円の値上げ幅。これは例年のおよそ1.7倍です。ひとつの流通が滞れば、ほかのものの流通も影響を受けてしまいますから、野菜を発端に、あらゆる業態の品物が、異常気象によって連鎖的に高騰してしまう可能性もあるんです」
埼玉県熊谷市では7月23日に歴代最高の41.1度を記録した。“異常な猛暑”も野菜の価格に影響をもたらしている、と加谷さんは続ける。
「いちばん注意すべきはこれから旬になってくる野菜の価格でしょう。秋・冬野菜といえば、かぼちゃやじゃがいも、にんじんなどがありますが、軒並み上がる可能性があります。猛暑の影響でやはり、出荷時期などの誤差が生じてしまいます」
値上げするのは野菜だけではない。外食産業もこの天候不順の影響を受けている。
「沖縄では鶏卵が8月時点ですでに12%ほども値上がりしていますので、一部商品を値上げするレストランなどが今後現れてもおかしくはありませんね」
相次ぐ値上げラッシュ。今後も値上げするものが続々と発表されている。その背景には、異常気象のほかに、日本が抱える“問題”が潜んでいる。
8月からは、すでに明治乳業の「北海道十勝カマンベールチーズ」が5%値上げ+内容量1割減、そして9月にはサバ缶(マルハニチロ)が10%値上げ予定だ。10月以降は「たばこ」が10~100円引き上げられ、いよいよ「1箱500円時代」に突入しようとしている。
「これらは、原材料価格の高騰が原因です。今年は一部メーカーの納豆やパンなども、同様の理由で値上げが発表されています」
さらに、レストラン「長崎ちゃんぽんリンガーハット」や、学習塾「KUMON」などのサービスも値上げだ。
「野菜たっぷりのちゃんぽんで有名な『リンガーハット』は、天候不順に加えて、人件費高騰により3.3%値上げしています。現在、どの分野も人手不足は深刻。牛丼チェーンなどもそうですが、この問題は何よりも物価に直結するので、多くの企業が値段を“上げるタイミング”を計っているといってよいでしょう」
たばこなどの嗜好品、子どものための学習塾……。ものやサービスを買うときは、本当にいまの自分や家族に必要なものかどうか、しっかり考えることも対策といえよう。