「私は父に、“お金は寂しがりやなんだ”と教えられてきました。お金は1人でポツンといるのが嫌いで、仲間のいるところに行きたがる。1人が2人になり、3人になり……仲間が増え始めると一気に集まってくる。そうやってお金は増えていくものなんですよ」

 

そう語るのは投資家の村上世彰さん(59)。9月6日、次世代を生きる子どもたちに向けた『いま君に伝えたいお金の話』(幻冬舎)が出版される。

 

村上さんは、通産省(現・経済産業省)に16年間勤務したのち独立し、投資ファンド「村上ファンド」を立ち上げて’06年まで運営。5,000億円の資金力で投資を行い、「物言う株主」として時の人となったが、’06年インサイダー取引の容疑で逮捕。’11年には最高裁で懲役2年執行猶予3年が確定した。

 

表舞台から姿を消したが、時間ができたことで、官僚時代から構想を練っていた社会貢献活動をスタートさせていた村上さん。シンガポールに在住しているが、最近では「村上財団」も設立し、引き続き社会貢献活動を行っている。

 

“誰よりもお金に詳しいと自負している”と著書でも語る村上さんが、今回本誌に、お金と仲よくなる人生ルールを教えてくれた。

 

■お金に縛られない

 

「お金と上手に付き合うということは、一定の収入の中で、いかに無駄遣いを減らし、自分の幸せのために使えるかということ。“お金に縛られない”ように努力することが、もっとも大事です」(村上さん・以下同)

 

村上さんは、お金に縛られている状態の一例として、「借金」を挙げる。そして、子どもの学費ローンや、住宅ローンをこれから検討している人へこう語る。

 

「検討中なら、一度、立ち止まって考えてみてほしいんです。学費ローンも住宅ローンも『借金』です。借りたお金は、必ず返さなければなりません。学生ローンにおいては、年間でおよそ3,000人もの学生が返済しきれず破産していることも問題になっています。本当に本人が大学に行きたいのか。住宅だって同じです。それで自分の“幸せ”を実現できるのか。きちんと考えずに“なんとなく”で借金してしまうと、返済に追われ、お金に振り回され続けるだけになってしまいます」

 

■数字に強くなるため、値札は必ず見る

 

「お金と上手に付き合うためにもうひとつ大事なことは、“数字に強くなる”ことです」

 

スーパーで買い物をするとき、前年は1匹100円でサンマが買えたのに、今年は1匹300円になっていたとする。

 

「まず値段がなぜ上がったのかを考えること。産地が違うのか、見た目はどう違うか、もし昨年と比べて痩せているのに300円だったら、なぜそれだけ高くなっているのか」

 

ただ“高さ”や“安さ”に飛びつくのではなく、しっかりとその値段がついている理由に思いをめぐらせてみよう。

 

「サンマの場合は“漁獲量が少なかったから供給不足により高くなった”と考えるのが妥当ですが、ふだんから商品やサービスにつく値段について、世の中の仕組みやお金の流れを“分析する”クセをつけましょう」

 

■収入のうち2割は貯金しよう

 

「『お金は寂しがりや』と冒頭に話しましたが、お金は集まれば集まるほど、どんどんお金を生んでいくものです。そのためには、お金を貯めることが出発点。収入の使い道としてのめやすは、7割が生活費や雑費、1割は家族の趣味や楽しみに、そして2割を貯金といったところでしょうか」

 

そしてこの貯金が増えてきたら、新たなお金を呼び込むため、「投資」をしてみようと語る。

 

「僕の投資観は、銀行に預けてもあまりお金は増えないが、日本の企業はまだまだ成長する可能性がある、というものです。ただ、いまから『どの銘柄がいいのか悪いのか』など勉強するのは大変でしょうから、貯金の一部を『日本株』全体へのインデックス投資や、投資信託などに回すことをお勧めします」

 

■わからないものには手を出さない

 

「昨今、ビットコインが話題ですが、僕はやっていないんです。わからないことには手を出さないようにしています(笑)」

 

村上さんは以前、ギリシャ国債と中国の消費者金融に投資し、“大損”を被ったことがあるという。

 

「住んだこともない国で、いろいろな要素を理解しきれていなかった。それ以降、改めて知らないことへの多額の投資はしてはいけない、と思っています。よく『○○さんがやってるから』『なんとなく儲かりそう……』といって始める人がいますが、それは投資ではなく投機に近い。外国通貨を売買するFXも『話題だから』と始める人がいましたが、あれは誰かが得をすれば、必ず損をする人がいるので、主婦の方にはお勧めできませんね」