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「先日、友人とお茶した帰りに『また会おうね』と言ったら、『うん、誘ってね』と返事をされたんです。その言葉がどうしても引っかかってしまって……」

 

そう話すのは都内在住の主婦・岩本香代子さん(仮名・45歳)。友人はあいさつ代わりに軽く発したのだろうが、“誘うのはあなたで、会うかどうかを決めるのは誘われた私”と言われた気がして、モヤモヤした気持ちがおさまらないという。さらにそれ以来、人と会う約束をするたびに、どちらから誘ったかを意識するようになってしまったとも。

 

「考えすぎと言われればそうですが、彼女が上から目線で私に接しているようにも思えてきて。人づきあいって難しいですね……」

 

じつは、香代子さんのように“どちらが誘ったか”を気にし始めたのを機に、深刻な悩みへと発展するケースは少なくないという。元・銀座クラブのホステスで、女性特有の人間関係にも詳しい心理カウンセラーの塚越友子さんに話をうかがった。

 

「島国である日本では、協調性をもち、人とうまくやることが美徳とされてきました。ゆえに、『友達100人できるかな』という歌も、“できたらいいね”ではなく、“できないと失格”と翻訳されがちなんです。つまり、友達が多くてみんなから好かれる人は、集団の中で価値があるという構図ができあがっていて、最近はSNSの普及により、さらにクローズアップされているように思います。その、好かれていることのバロメーターとして、『誘われる側が上』で『誘う側が下』という暗黙の了解のような価値観は確かに存在し、蔓延していると感じますね」(塚越さん)

 

塚越さんがカテゴリー化する「誘われる人」「誘う人」のタイプは大きく分けて、「誘い誘われる人」「誘ってばかりで誘われない人」「誘わないけど誘われる人」「誘えないし誘われない人」の4つ。

 

悩む人が多いのはもちろん、「誘ってばかりで誘われない」「誘えないし誘われない」の2タイプだ。ここでは、「誘えないし誘われない」人のエピソードを例に、塚越さんが解決法を教えてくれた。

 

■誘っても、相手に喜んでもらえるか自信がないんです(36歳・主婦・子どもなし)

 

3つ年上のAさんと仲よくさせてもらって7年ほど。月に1~2度、流行に敏感な彼女がセレクトするお店で食事するのが楽しみでした……ですが最近、Aさんが誘ってくれる回数が明らかに減ってきたんです。

 

夫には「会いたいなら自分から誘ってみれば?」と言われたけれど、地味でつまらない私は、Aさんのようにおしゃれな店を知っているわけでもないから、どうも気後れしてしまうんです。それに、Aさんは意図的に私と会う回数を減らしているのかもしれないと思うと、私が誘うこと自体が迷惑かなって。このままAさんとの縁が切れてしまうのはイヤ。でも、誘うこともできない。私はどうしたらいいのでしょう。

 

「誘えない人は、“誘って会う”こと自体を深く、重く考えすぎる傾向にあります。でも、誘い上手と呼ばれる人たちは、じつはあまり深く考えずに誘っているものです。予定を埋めたいからというより、単純に予定があって、ひとりより誰かと一緒のほうが楽しめるはずと、たまたま頭に浮かんだ人に声をかけている可能性も。誘う、応じるに必要以上に意味をもたせず、『その行事を一緒に楽しもう』という気持ちだけで十分です」(塚越さん・以下同)

 

■「ほかに友達いないのかしら?」と思われるのが怖くて……(44歳・主婦・子ども1人)

 

以前、懸賞でお芝居のチケットが当たったので勇気を出して知人を誘ったら、「なんで私? ほかに行く人いないの?」と言われました。真意はわかりません。

 

ですがそれを機に、人を誘うときはものすごく考え込んでしまうように。相手はじつは負担なのかも、イヤなのに仕方なく応じてくれちゃうかも……などと、あれこれ邪推してしまいます。さらに、「誘い合うほどの間柄じゃないでしょうに。友達がいない人なのかしら」と思われるのもすごく怖くて。プライドが高いと言われてしまえばそうですが、どんどん神経がすり減ってしまい、今は何かあれば夫や大学生の娘と気軽に出かけています。子どもが女の子で本当によかった……。

 

「誘う対象をひとりに絞ると、相手に固執しやすくなりがち。まずは複数で気軽に出かけられるイベントを探し、周囲みんなに声をかけてみましょう。10人に声をかけたとしたら、なかには予定のある人、そのイベント自体に興味がない人もいて、自分自身を拒否されているわけではないと理解できるようになります。こうして、断られても『あら残念』と受け流せるように練習をするうちに、誘うこと自体へのハードルも低くなっていくはずです」

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