「公的年金支給開始年齢の引き上げ検討」「受給額減額か」、こんな新聞見出しを見るたびに「私って、どれくらい年金がもらえるのかしら……」と不安に思う人が多いだろう。それぞれの納付期間や年金の種類などによって、複雑に支給額が変化するのが年金制度だ。
「いつも年金問題を解説してくれるファイナンシャルプランナーの人たちって、自分ではどんな年金に入っているのかしら?」(50代・主婦)
そんな疑問に答えるため、“マネーの賢女”たちに、「あなたが実際に行っている年金対策」を緊急調査。将来受け取れる年金額のイメージを聞いた。
ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんが加入している年金の種類は国民年金。しかし、会社員時代に11年間ほど厚生年金に加入しており、現在も夫は厚生年金を納めている。
「会社員時代に納めた厚生年金も合わせて考えると、年金受給制度が現行水準のままなのであれば、夫婦で月額あたり28万円程度を想定中です」
夫婦ともに厚生年金に加入しているというファイナンシャルプランナーの山中伸枝さんは、「夫婦合わせて月30万円ほど」、独身のファイナンシャルプランナー・野々市恵子さんは「月10万円ほど」と将来の受取見込み額について話す。
厚生年金を選択している人はそのほかも、既婚であれば夫婦合わせて月20万~30万円、独身であれば月10万円程度としていた。
公的年金を将来いくら受け取れるのかを確認する手段として、賢女が挙げたのが「ねんきん定期便」。毎年誕生月に送られてくるこの通知書は、受取見込み額や35歳、45歳、受給開始前年59歳時点での加入・納付状況が把握できる。毎年必ず目を通し、老後の生活設計に役立てているという。
では、厚生年金に加入していない場合を見ていこう。
独身で節約アドバイザーの丸山晴美さんが加入しているのは、国民年金。満額支払っていることは「定期便」で確認しているが、それだけでは老後資金に不安を感じたという。
「国民年金に加えて国民年金基金に15年間、そして損害保険会社の『年金払積立傷害保険』に月2万円を24年間支払っています。損保の年金積立がありますので、60~75歳まで年間260万円、75歳からは年間130万円、公的年金に加えて受け取ることができる予定です」
同じく厚生年金に加入していない生活経済ジャーナリストの柏木理佳さんも公的年金(柏木さんは月10万円程度と試算)に加えて、民間の生命保険の個人年金に加入している。厚生年金に加入している期間がない、もしくは少ない場合、民間の年金積立制度を利用して、カバーするケースが多いようだ。
しかし、「長く働いて収入を得たほうがいい。“年金”より“現金”です」と、きっぱり言うのは経済ジャーナリストの荻原博子さん。風呂内さんも、老後資金を年金ひとつに頼ることを危険視していると話す。
「収入も変動しますし、想定より少ない場合もあるでしょう。今は月額28万円程度受取れそうと計算していますが、結果的には月額23万円程度という可能性もあると考えています。終身でもらえるという特徴は非常に心強いとは思うのですが、老後資金にするには、年金額を“増やす”施策を考えなければなりませんね」