(提供:タニサケ) 画像を見る

キッチンに、居間に、はたまた飲食店の隅っこをすばしっこく走る黒光りの体。ゴキブリの気持ち悪さは、まさに“人類の敵”とも言っていいだろう。どこにでも現れるゴキブリだが、日本に“ゴキブリ0”の町があるという。それが、岐阜県の南西部に位置する池田町だ。池田町役場産業課の吉田湧基さんが語る。

 

「池田町はさかのぼること30年前、年間5万円の助成金を住民に支給し、町をあげて“駆除作戦”に取り組みました。自宅で5,000匹のゴキブリを飼育し、地元で“ゴキブリ博士”と呼ばれた谷酒茂雄さんが、ゴキブリに脱水症状を引き起こす毒エサ『ホウ酸だんご』を発明。老人会や婦人会の人たちが総出でホウ酸だんごを作って、各家庭に置いたのです。それが功を奏し、“池田町の子どもはゴキブリを知らない――”とまで言われるようになりました」

 

そのホウ酸だんごは、その後「ゴキブリキャップ」という名で商品化され、今では池田町の大事な特産品のひとつに。

 

「小さいころからおばあちゃんがホウ酸だんごを作っては、玄関や窓際に置いていました。“1匹たりともウチに入れない”という精神で、いまでも町の人たちが実践していますよ」(町内在住の主婦)

 

「ゴキブリキャップ」を製造する「タニサケ」(本社は池田町)でゴキブリの生態を研究している蛯江正和さんは、“ゴキブリ0”を目指す心得についてこう語る。

 

「まずは家の中にいるゴキブリを駆除することが最優先。冷蔵庫の裏や家具の隙間、押入れに入れっぱなしにしている段ボール箱や古紙の束は、ゴキブリが巣を作るのに格好の的です。段ボール箱は早いうちに処理し、その周辺に毒エサタイプの駆除剤を置いたり、殺虫成分が室内に行きわたる燻煙剤で駆除するのがよいでしょう」

 

しかし、家の中にすんでいるのを駆除しただけでは安心できないのがゴキブリの恐ろしさだ。

 

「秋口になり外気温が下がってくると、寒さが苦手なゴキブリは暖かい屋内に入ってきます。そのとき、家のわずかな隙間からも侵入してしまうのです。とくにキッチンや洗面所の下の排水管の隙間は対策していない人が多いでしょう。パテやガムテープでしっかりとふさいでください。エアコンの排水ホースは防虫キャップでふさぐか、できれば地面から遠ざけることです。玄関ドアの新聞受けもゴキブリからすれば“侵入口”。チラシが挟まったままにせず、常に閉じておくように」(蛯江さん)

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