新型コロナウイルス感染拡大に対する懸念から、連日のように報じられる世界各地の株式市場の不安定な動き。「家計に影響があるのでは?」と危惧する人も多いだろう。家に籠らざるをえない日々、不安は募るばかりだが。
「今こそ、自宅にいながらにして、お金を増やすチャンスなんです。投資の世界では株価が下がったときこそ、いい商品が安く買えるバーゲン時期“なのです」
そう話すのは、家計再生コンサルタントの横山光昭さん。お金に関する著書が120冊、累計330万部にも上る、いわば“お金の専門家”によるとーー。
「いわゆるリーマン・ショックやITバブルの崩壊、古くは世界大恐慌のときにも株式市場は暴落しましたが、短くて3年、長くても10年ほどたてば、市場は回復し、暴落時の影響を吸収したうえで、右肩上がりの成長をしています。私がおすすめしている『インデックス・ファンド』という投資信託の商品は、市場と同じような値動きをします。今回のように株価が下落すれば一時的に値下がりしますが、長期的に見れば、こちらも市場同様、値上がりしていく可能性が高いと言えます」
つまり、長く持ち続けることで、着実に利益を生み出してくれる商品ということ。今回、横山さんが教えてくれる「月3,000円から積立術」は、このような商品を5年、10年と毎月コツコツ買い続けていく投資法だ。
「“投資”と聞くとハードルが高く感じる方もいるかもしれませんが、最初は月に3,000円から、“貯金”をする感覚で始めてみてください。また“投資”ですので、絶対に損をしないとは言いきれないのですが、毎月の積立購入には、リスク分散の効果もあります」
ではさっそく横山さんに「月3,000円から積立術」を伝授していただこう。押さえるべきポイントは次の3つだ。
【1】ネット証券で始めよう
「自宅で口座開設の申し込みができるネット証券がおすすめ。手数料が安いのも魅力です」
ウイルス感染を避けるために外出を控えたい今はむしろ、自宅のパソコンで証券口座を開設する好機。ちなみに楽天証券は現在、すべての投資信託の買付手数料が無料になっている。
【2】最初は月3,000円から、投資信託を積立購入
いくら株価が全般的に値下がりしているからといって、初心者が個別株(株式)に手を出すのは大やけどのもと。
「無理せず家計から出せる金額で、まずは投資に慣れることから始めましょう」
【3】「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」を買うべし
「(前述の)『インデックス・ファンド』の中でも、私がイチ押しするのは『楽天・全世界インデックス・ファンド』」です。“世界最強の商品”ともいわれ、これ1つで世界49カ国8,400銘柄に分散投資ができます。しかも年6%程度と利回りもいい。開始当初はこの商品にのみ月3,000円積み立てれば問題ないでしょう」
横山さんのアドバイスを受け、「月3,000円から積立術」で実際に“稼いだ”実例を見ていこう。まずは7年間で貯金0から資産を約1,100万円に増やした50代の夫婦から。
【実例1】
Aさん(50歳)はパート勤務(手取り月収12万円)。夫(55歳)は手取り年収600万円(月40万円、ボーナス年間120万円)の会社員。2人の子どもの教育費で貯蓄がほぼ底をついていた。
「次男の大学卒業を機に、これから大急ぎで夫婦の老後資金をつくりたい」と、横山さんのところへ。
「私はいつもみなさんに『まずは月収の7.5カ月分を、いざというときのために貯金してください』と伝えます。それから積立投資をしましょう、と。でもこの夫婦はすでにご主人の定年が間近に迫っていたので、貯蓄と投資を同時に始めてもらいました」
投資はAさんのパート収入からと決め、月に3,000円の積み立てに、10万円を貯蓄に回すことに。年間投資額40万円までは運用益が非課税になる「つみたてNISA」口座を利用して、積立投資をスタート。
「少し慣れてきたところで、積立分を月5,000円、1年後には月1万円に増額。貯金が2年半ほどかけて目標額である月収の7.5カ月分(300万円)を超えたので、『つみたてNISA』の1カ月あたりの限度額となる約3万3,000円まで、積立額を増やした」
最初は「投資なんかして大丈夫か?」と言っていた夫も、このころにはお金が増えていくのを実感。自らもボーナスの一部を積立投資するように。結果、積み立て&貯蓄を始めてから7年後には、夫婦の資産は約1,100万円になった。
「子どもを社会に送り出してから老後までの限られた期間に資金を増やすためには、積立投資を利用するのが有効なのです」
夫のリタイア後に「月3,000円から積立術」を始め、5年で200万円超を達成した60代主婦も。
【実例2】
Bさんは60歳の専業主婦で、66歳の夫には年金とアルバイトによる収入が。退職金の約1,400万円がまだ手元に残っていたがーー。
「人生100年と言われる時代。退職金にはなるべく手をつけず、まずは月3,000円から
積立投資をして、コツコツと増やして行くことを提案しました」
「つみたてNISA」で月3,000円を1年間続け、投資に少し慣れた1年後に、月5,000円に。
「利益が出てくると安心もするのでしょう。さらに1年後には一気に月2万円に増額され、今では夫婦でそれぞれ月3万3,000円ずつ、合わせて月に6万6,000円を積立投資で運用しています」
開始から5年、積み立てた資産は200万円を超えた。
「現在の1年間の運用益は年に5万円ほど。この額は今後、続ければ続けるほど、増えていきます。積立投資である意味、お金も“長生き”させることができるのです。このご夫婦はプラスになった分でごちそうを食べに行ったり、ささやかな幸せを楽しんでいます」
最初はごくわずかでも、将来的にはまとまった運用益が稼げるようになる「月3,000円から積立術」。始めるなら今です!
「女性自身」2020年3月24・31日合併号 掲載