年収130万円超えると損!?厚生年金適用拡大後のお得な処世術

コロナショックによって、ますます先行きが見えなくなってきた日本社会。各企業が受ける経済的打撃への補償対応についての議論が高まるなか、老後を左右する年金制度にも注目が集まっている。年金制度改革法案が4月14日に衆議院で審議入りし、今回の目玉となる改正案がパートなど短時間労働者への厚生年金の適用拡大だ。

 

新しい改正案の内容についてはこちらが詳しいが、改正後の適用要件は以下の通りだ。

 

・常時従業員101人以上(※)の企業に勤務していること
・週の所定労働時間が20時間以上であること
・月額の賃金が8.8万円以上(年収換算で106万円以上)であること
・学生でないこと
・雇用期間が2か月以上見込まれること

※2022年10月から。24年10月には51人以上の企業に条件が拡大される。

 

適用される企業の従業員数が拡大されることによって、厚生年金や健康保険といった社会保険のサービスを受けられることになる。さらに、“社会保険完備”という企業のイメージアップにもつながる。

 

しかし、「私の生活はどう変わるの?」と具体的なイメージが浮かばない人もいることだろう。そこで、経済ジャーナリストの荻原博子さんに今回の適用拡大に関する気になるポイントを解説してもらった。まず、気になるのが厚生年金加入は必須なのかということ。改正後、個人で選ぶことができるのだろうか?

 

「前提条件として、厚生年金の加入は個人が選べるものではありません。“従業員数が101人以上”“週の労働時間が20時間以上”といった条件にあてはまる人は入らなければなりません」

 

これからパートを始めようとしている主婦は、勤め先を選ぶ際にどのような点を注目したらよいのか?

 

「(社保適用外の)企業でも時給が高いところもありますし、手取り収入からすれば『社保が適用される企業で働くべき!』と一概には言えません。ですが企業規模や条件が同様の企業で働く場合、社会保険に加入できるほうがいいでしょう。」

 

これまで社会保険の適用外だった企業で働いていたパート主婦やシングルマザーの生活にはメリットがあるようだ。

 

「パートしている主婦の方だと、社会保険適用後に働いた期間や寿命によっては受給額より支払った保険料のほうが多くなることもあるでしょう。ですが、期間がある程度長くなると老後貰える年金額はより増えることになります。また現在は国民保険の第1号被保険者として自ら保険料を納めているシングルマザーなどは厚生年金に入ることで、半分は会社負担となるので保険料は安くなるし、保障は厚くなるのでデメリットはありません」

 

また健康保険に加入することで、メリットもある。ケガなどで長期間働けない場合の生活保障のために給付される傷病手当金や出産で会社を休職した場合の出産手当金といった、国民健康保険にはない制度が適用されるのだ。

 

パートしている主婦にとっては、年収額の調整も気になるところだろう。社会保険に加入している夫の扶養家族に入っている場合、パートでも年収130万円を超えなければ第3号被保険者となり、収入額によって対応は変わるようだ。

 

「自ら国民健康保険被保険者・国民年金第1号被保険者になると、年間で数十万ほど保険料を支払う必要があります。その点、厚生年金が適用される第2号被保険者になると、企業と折半になります。第3号被保険者は、年収が130万円を超える場合、稼ぐ額を増やすという選択肢も考慮すべきです。人にもよりますが、年160万円以上稼げば手取りでプラスになります」

 

気になるのが、クリーニング店や青果店といった個人事業主のもとで働くパート労働者だ。現状だと一部業種を除いて、法人化されておらず従業員が5人未満の個人事業所は厚生年金に加入することができない。今後、個人事業所で非適用となっている業種への適用拡大も課題となっていく。現時点でそうした場所で働く人々に自衛策はあるのだろうか?

 

「個人事業主も、そこで働いている労働者も社会保険に入っていない場合が多いです。その場合は自分で“国民年金”と“国民健康保険”に加入し、保険料を支払い続けること。それが、まずできる自衛策となるでしょう。将来、受給開始となったときには最低限の保障を受けることができますから。また国民年金に上乗せして納付・受給できる国民年金基金や、掛け金が控除となるiDeCo(個人型確定拠出年金)などを運用する方法もあります」

 

最後に制度前に確認しておくべきことを指南してくれた。

 

「まずは自分の収入ですね。いまは“賃金月額8万8千円”の上限があるので、それをもとに年収ベースでチェック・確認しておくべきです。また社会保険は加入期間を通算することができます。大学卒業後に会社に入ったのちに結婚・出産などで退職すると、一旦は社会保険の適用からは外れます。その後に時間を置いてパートで働き始めたとしても、社会保険に加入できる企業で働くことができれば、加入期間がトータルで加算されることになります。こういうケースもあるので、ねんきん定期便などで自分の年金加入の流れを振り返ってみるのがいいでしょう」

 

日本労働組合総連合会の年金への取り組みはこちらをチェック!

 

 

 

 

 

 

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