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“挿入”ができずに結婚後も処女。けれど子供はほしい――。

 

コミックエッセイ『奥さまは処女』(光文社)が刊行されたばかりの著者うなぎさんは、そんな悩みをもったアラサー女性だった。著書では、「処女」「セックスレス」「妊活」をテーマに悩みや体験などを赤裸々に綴っている彼女だが、現在は“処女のまま妊娠中”だ。性の悩みは人それぞれではあるが、1人のアラサー女性がたどりついた“自分なりの答え”とは――。うなぎさん本人に話を聞いた。

 

――著書は同名ブログの内容をまとめたもの。ブログを始めたきっかけは、周囲の“出産ラッシュ”だった。

 

「私が27歳になったころから、2歳年上の姉や職場、プライベートの知人にもポンポンと子どもが生まれるようになりました。私とよく遊んでくれていた友人にも。周りがどんどん母になっていき、寂しい気持ちが強くなっていったのと同時に、実物の赤ちゃんを見てかわいいな、と。そして“自分はこのままでいいのか?”と考えるようになったんです」

 

――うなぎさんは、21歳のときに旦那さんとのお付き合いが始まり、26歳で結婚。が、旦那さんと試みるセックスがうまくいかず、現在まで処女のまま。

 

「友達の誰にも自分が処女だということを言っていません。そういう話になったときは非処女ぶって率先して下ネタを言ったりして、“処女なの?”って聞かれないようにしてきました。結婚するまでは処女であることをどうごまかしていくか考える日々でしたね」

 

――ブログを拝見するに、男性器が苦手とか、性的な嫌悪感があるということでもなく、“穴への挿入”に伴う痛みなどに対する恐怖心があるだけで、性的なことに対しては好意的なように感じるが……。

 

「性的嫌悪などはとくになくて、(恋人ができる21歳までは)できれば早く“現物”を見てみたいと思っていました(笑)」

 

――性行為(挿入)に挑まれたのはお付き合い期間もあわせて十数回。

 

「夫婦の性的なコミュニケーションを定期的にとるようになったのが妊活を始めてからでしたね」

 

――セックスレスで夫婦仲が険悪になるとか、けんかをすることはなく?

 

「そういうことは1回もないです。挿入まで至れなくて“悲しい”“くやしい”って私が泣いてしまったことくらい。ふだんは性的なことについて話しませんし、夫もその話を避けています。よく“話し合いをしましょう”“夫婦の話し合いが一番大事”とか言うじゃないですか。だから“性的な話をすると夫が話題を変えちゃうから話し合いができない”って夫のせいにしていた時期もあったんです。でも、考えてみたら、私も嫌だし、話し合うことがない(笑)。正直、妊活のことを考えなければ、処女であることを全然気にしないで生活していたと思います」

 

――妊活を思い立った当初はまずは“脱処女”を、と考えていたうなぎさん。悩み、奮闘するなかでたどりついたのは、精子をシリンジで膣内に注入するシリンジ法だった。シリンジ法なら挿入の必要がなく妊活ができるが、そうなると“脱処女”という目標は……?

 

「もうないです(笑)。私がもうしなくていいと判断しました」

 

――シリンジ法をはじめたことで「挿入しなくては」という呪縛から解放された?

 

「そうですね。夫もそのほうがよかったと思うんです。プレッシャーもあったと思うので」

 

――ブログによると、うなぎさんご夫婦にとってシリンジ法はいい性的コミュニケーションにもなっていたとのこと。精子を出すことが義務になると、そのまま夫婦仲が悪くなっていくケースもありそうだが……。仲よくできた秘訣は?

 

「“精子だけ出してきて”って言うんじゃなくて、私が手伝っているので……。だから大丈夫だったんじゃないかなと。夫もノリノリだったので、毎月のイベントとして楽しみにしてくれていたと思います。ただ、私も疲れてきちゃうので2、3回に1回くらいは自分で出してもらいました。“今日は時間かかりそうだから自分でやってくる”と、夫が率先してやってくれることもあって、ありがたかったですね」

 

――ご主人が「今日は嫌だ」とか言うこともなく?

 

「なかったですね。毎月、排卵日を予告しているので、私が今日は疲れちゃった、と思って先に寝ていると“ちょっと、やるよ。(注入するための精子を入れる)容器はどこにあるの?”と起してくれることもあって、それは嬉しかったです」

 

「結婚後も処女、でも子供ほしい」アラサー女性抱えた悩み
画像を見る コミックエッセイ『奥さまは処女』(光文社)

 

――そして現在、妊娠中。シリンジ法をはじめてから妊娠までの経緯は。

 

「期間でいうと1年10ヶ月。シリンジ法を行ったのは約13ヶ月、回数でいうと30回くらいです。体調を崩してお休みする時期があったり、再開後には“あきらめモード”に入っていたので、毎月必ずということではなくて、ゆっくりやっていました」

 

――出産予定日はまもなく。失礼な言い方かもしれないが、入れる前に、より大きなものが出てくる……。

 

「出るのは入れるのとは違うな、って思います。“入れるのが無理なら赤ちゃんなんて産めるわけない”という意見も見ましたが、処女のままシリンジ法で授かって出産したブログの読者の方の報告もいくつかあって、“なんとかなりました”“入れるとの出すのは全然違う痛みなので大丈夫です”“陣痛が痛すぎて、穴とかそういう問題じゃないです”という体験談も励みになっています。穴がどうこうではなく、陣痛とか出産自体が恐怖すぎてどうしよう、というところです」

 

――最後に、うなぎさんと同じように悩んでいる人たちにメッセージを。

 

「私はブログをはじめて、高齢処女の方や、既婚処女の方がたくさんいることを知りました。あまり重く考えたり、自分を責めたり、悩むことではないよ……と、私自身に言いたいですね(笑)。今も処女なので。それと、私にとっては処女であることは、悩みというよりコンプレックスなんですよね。私の場合は、本当は別に脱処女したくないという気持ちがあるので、悩んでいる人の気持ちは正直わからないかもしれません。

 

セックスレスについても、カップルの両方がセックスを望んでいないのであれば、あえて問題にするべきではないと思います。私の場合、本当は気にしていなかったのに、子どもがほしいことからセックスレスだと問題化してしまって、どんどん追い詰められて体調を崩してしまいましたから。

 

夫婦どちらかがセックスを望んでいるのであったら、いろいろなことで“パートナーが○○してくれない”って考えてしまうと思うんです。“してくれて当たり前”と相手に期待しすぎて、それが叶わなくて自分をみじめにしてしまったり。相手を変えようとせず、相手の都合を大切にしつつ、自分を尊重することから始めたらいいんじゃないかなと思います。……なんか偉そうに言っていますけど、本当に人それぞれだと思うので、正直わからないんですけどね」

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