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新型コロナウイルスは変異株が猛威を振るい、感染への不安が身近に迫ってきた。そのうえ、コロナ禍で「残業代が減った」「頼みの綱のボーナスがカットされた」など、家計に不安を抱える人も多い。しかし、不安ばかりでは気がめいってしまう。そこで、少し目先を変えて“埋蔵金”を探してみては? コロナ貧乏を救うわが家の埋蔵金について、経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれたーー。

 

■企業年金のもらい忘れが約114万6,000件も

 

ここでいう埋蔵金とは、生活や家計の見直しだけで生まれるお金のこと。転職や起業、しんどい副業、リスクの高い投資、つらい節約などは必要ありません。

 

先日出版した『あなたのウチの埋蔵金 リスクとストレスなく副収入を得る』(朝日新聞出版)にも書きましたが、埋蔵金は“申請し忘れ”や“もらい忘れ”が多いです。それらを見つけ、いまからでもきちんと申請すれば、死ぬまでお得が続くものもあります。皆さんのウチにも、埋蔵金が眠っているかもしれませんよ。

 

【1】加給年金

 

20年以上厚生年金などに加入している方が65歳で年金をもらい始めるときに、扶養する配偶者や子どもがいる場合、“年金の家族手当”と呼ばれる「加給年金」が受け取れます。

 

たとえば、65歳の夫に専業主婦で年下の妻がいる場合などで、妻が年金を受給するまでの間、年22万4,700円(’21年度・日本年金機構)の加給年金が、夫の厚生年金に上乗せされます。

 

また、妻の生年月日による「特別加算」があり、妻が’43年4月2日以後の生まれなら年16万5,800円。加給年金と特別加算を合わせて、年約39万円です。妻が5歳下だと、5年間で約200万円。決して見逃せない埋蔵金です。

 

さらに、妻が65歳になって自分の年金をもらい始めると、夫の年金に付いていた加給年金は終了しますが、今度は妻の年金「振替加算」が付きます。

 

振替加算は、妻が生まれた年度によって金額が違います。たとえば’55年5月生まれだと年約5万円ですが、徐々に減っていき’65年5月生まれだと年約1万5,000円。とはいえ、妻が死ぬまで続く年金ですから、少額だと侮れません。

 

ただし’66年4月2日以降に生まれた方には、残念ながら、振替加算は付きません。

 

【2】企業年金

 

かつて働いていた会社に「企業年金」制度があれば、たとえ1カ月だけの加入でも、企業年金が受け取れます。しかも、受給は死ぬまで続きますから、受給額がわずかだとしても貴重です。

 

企業年金は受給の時期に通知があるはずですが、結婚して姓が変わった、引っ越したなどで通知を受け取れない方が多いです。そのため、もらい忘れが約114万6,000件もあるといいます(’20年3月末・企業年金連合会)。

 

もし心当たりがあれば、働いていた会社か、企業年金連合会にお問い合わせを。老後生活にありがたい埋蔵金を掘り起こせるかもしれませんよ。

 

【3】年金生活者支援給付金

 

国民年金の受給者で、一緒に住んでいる人全員が住民税非課税などの条件を満たせば「年金生活者支援給付金」がもらえます。

 

これは’19年10月、消費税が10%に引き上げられる際に導入された新しい制度です。受給額は年金保険料の納付期間によりますが、最大で毎月約5,000円。これが1人分ですから、夫婦ともに条件をクリアすれば2人で月約1万円。年間約12万円になります。

 

該当する方は簡単な請求用紙が届き、名前などを書いて返送する手続きが必要。「手続きをした覚えがない」など不安な方は、年金給付金専用ダイヤル0570-05-4092にお問い合わせを。

 

「女性自身」2021年5月11日・18日合併号 掲載

経済ジャーナリスト

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