コロナ関連の失業者が10万人を超え(’21年4月・厚生労働省)、生活に困窮する人が後を絶たない。国の支援策も十分といえないなか、きびしい懐ろ事情に付け込む「ツケ払い・後払い現金化」という悪徳金融が急増している。経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれたーー。
■コロナ貧乏に付け込んだ“ツケ払い現金化”のわな!
ツケ払い・後払い現金化とは、お金が必要な利用者が、次の給料日に代金を支払う「ツケ払い(後払い)」で、情報商材などを購入します。その際、利用者は代金の一部を「キャッシュバック」としてすぐに受け取り、次の給料日に代金全額を支払うというもの。
たとえば6万円の商品をツケ払いで買って、キャッシュバックを3万円受け取り、次の給料日に6万円を払うケースなどです。一見普通の商取引に見えますが、それらの商取引は“隠れみの”にすぎません。実態は、キャッシュバック名目の3万円を借りて、1カ月後に6万円を返すといった高利貸なのです。
とすると、3万円の借金に対する1カ月の利子が3万円ですから、年利に換算すると1,200%になります。法律で定められた利子の上限は年20%なので、明らかな違法金融です。
ですが、グレーな存在でまだ摘発されていないため、ブラックリストに載っていて貸金業者からもう借金ができない方や、今すぐ現金が必要な方がわらをもつかむ思いで利用しているのでしょう。
実は数年前、これと似た「給与ファクタリング」と呼ばれる悪徳金融が横行していました。たとえば給料が月20万円の人が、給料日前に業者から15万円を借りて、給料日に20万円返済するというもの。
差額の5万円が利子ですから、年利400%超の違法です。’20年3月に金融庁が「貸金業にあたる」と見解を発表してから業者の摘発が相次ぎ、給与ファクタリングは急速に姿を消しました。
その次の手が、ツケ払い・後払い現金化です。いまは少額の貸付が多いので、法外な利率に気づきづらいかもしれませんが、「ツケ払い・後払い現金化金利計算シミュレーション」サイトで利率を計算してみてください。その高さを見れば、冷静になれると思います。
また、キャッシュバックと聞くとお得感がありますが、そんな言葉にだまされてはいけません。返済できないときには勤め先や親戚に知らせるなどと脅しをかけ、痛烈な取り立てを行います。
こうした悪徳金融には手を出さないのが鉄則ですが、すでに利用してしまった方は、一刻も早く弁護士に相談してください。違法な高利貸から借金した場合、利子はもちろん、元金も返済の必要はないと法律で決まっています。法テラスや自治体の法律相談などは、無料で利用できます。
新型コロナの変異株が脅威となり、心身ともに弱っている方が多いと思います。悪徳金融や詐欺師などは、弱い心に付け込みますから、くれぐれも気をつけて。
「女性自身」2021年5月25日号 掲載