保険の見直しはハードルが高いものだが、一度見直せば、その後はほったらかしで節約効果が長く続く。コロナ禍で家計がきびしい今こそ、挑戦したい。そんななか、火災保険の保険料が、また大幅に上がるようだ。経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれたーー。
■契約最長期間も短くなるかも。注意を!
そもそも火災保険は、損害保険料率算出機構が提示する「参考純率」をもとに、保険会社がそれぞれ保険料を決めています。参考純率は金融庁の審査を経て改定されますが、5月28日に新たな引き上げの届け出がありました。金融庁で審査中ですが、おそらく届け出どおりに決定されるでしょう。
というのも近年、自然災害が増加、激化して、火災保険の保険金支払額が膨らんでいます。そのため、参考純率を見直し保険料徴収を増やして、保険会社の収支バランス改善を目指しているのです。
前回の改定は’19年10月。’18年9月に関西空港が浸水した台風21号など’18年度までの災害を反映しました。’19年以降も、千葉が大停電に陥った台風15号や’20年7月の熊本豪雨などがあり、今回の改定はこれらを反映します。引き上げはやむをえないでしょう。
とはいえ、今回改定すれば’18年5月、’19年10月に続いて4年間で3度目。実際の保険料は’19年改定をもとに今年値上げされたばかりですが、’22年ごろにまた上がることになるでしょう。
さらに、参考純率が平均約11%の引き上げと報じられていて、過去最大になるもようです。なかには引き下げの地域もありますが、多くの地域で保険料の大幅値上げを覚悟したほうがいいと思います。
ただ、火災保険は長期契約が多く、契約を更新するまで保険料は変わりません。「更新までまだ○年あるから」と、自分ごとと思えない方もいるかもしれません。
ですが、火災保険は契約の最長期間を10年から5年に短縮することも検討しています。そうなると、保険料が上がるタイミングが頻繁になり、長期契約の割引も減ってしまう。保険料の負担が重くなる方が増えるでしょう。
そこで、早いうちに、火災保険の見直しをおすすめします。
まず、火災保険の契約更新はいつか、確認してください。更新が近づいている方は、保険料値上げの前に、新しい保険に加入し直したほうが安く済むケースもあります。地域により値上げ、値下げなどさまざまですから、保険会社に問い合わせてみるとよいでしょう。
次に、10年契約を考えている方も早めに動きましょう。
10年契約で一括払いの割引率は、18%前後が一般的です。年払い保険料が3万円だと10年間で30万円必要ですが、一括割引18%が適用されると24万6,000円で済みます。大金を用意するのはたいへんですが、初回だけ全額貯蓄から捻出し、それ以降は月払い保険料を毎月納めるものとして貯金していけばOK。まとめ払いは、銀行に預けるよりかなりお得です。