あいつぐ食料品の値上げ。ただでさえ、支出が多い年末が近づいているのに、自粛からの反動消費も重なって--。懸念される支出2割増を乗り切る新習慣!
「10月からうどんやパスタ、小麦粉、コーヒー、マーガリンなどが数%~30%も値上がりしています。さらに原油価格の高騰で、電気料金も値上げ、1リットルあたりのガソリン価格は過去最高水準です」
こう語るのは、生活経済ジャーナリストの柏木理佳さんだ。
10月25日には、5都府県で続いていた飲食店への営業時間の時短要請が解除され、本格的に経済活動が再開した。
これまで行動を自粛していた人のなかにも、外食や旅行などの活動を再開した人は多い。こうした一斉値上げや“反動消費”は私たちの家計に大きな影響を与える。
「特に、帰省や忘年会、年始の準備など、なにかと支出の多い年末の影響は大きくなるでしょう。生活費の支出は、昨年と比べて、20%近く増えると予測しています」(柏木さん・以下同)
そこで、コロナ自粛明けの今こそ取り入れたい支出減の新習慣を教えてもらった。
【ネットショッピングを夜は控える】
〈方法〉:夜になると判断力が鈍り、いらないものを買ってしまう原因に。夜の買い物はやめよう。
〈削減金額〉:月2,332円減
「24時間、クリック一つで買い物できるのは便利ですが“〇万円以上の購入で配送代無料”などの誘い文句にのせられて、一品、余分な買い物をしていませんか。衣類の場合、リアル店舗での男女の支出の差はさほどありませんが、オンラインショップとなると、女性の支出は男性の2倍になるそうです。とくに夜11時から12時くらいのネットショッピングは、お酒を飲んで気が大きくなったり、“早く寝なきゃ”と焦ってよく考えずに買ったりすることが多く、避けたいところです」
総務省の調査によると、ネットショッピングをする世帯は、しない世帯に比べ、家電で1,333円、衣服で583円、家具で416円支出が多いという結果が。ふだんの買い物と同じように、本当に必要なものだけ買えば、2,332円節約に。
【クリスマスとお正月はふるさと納税で】
〈方法〉:年収が確定する年末。正月やクリスマスの“ごちそう”をふるさと納税で調達するのがおすすめだ。
〈削減金額〉:2万8,000円減(12月のみ)
「年末には親族で集まって豪華な食事をする習慣がある家庭も多いでしょう。また、おせち料理も必要ですね。そうしたものの購入費はバカになりません。こうしたものは、所得税の還付、住民税の控除が受けられるふるさと納税を利用して調達してみてはいかがでしょう。3万円ほど利用している人が多いですが、その場合は実質負担2,000円で、2万8,000円分の返礼品が得られます」
【光熱費と電話代を新プランに見直し】
〈方法〉:電気・ガスはセット割に。固定電話代と携帯大手キャリアの“割高”プランを見直せば、大幅に支出削減
〈出費品目/出費額※〉:通信費+光熱費/月4万4,022円
〈削減金額〉:月1万7,176円減
毎月の固定費を抑えることこそ、恒久的な節約の第一歩。光熱費や電話代など、次々とお得な新プランが生まれているので、今のプランと比べてみよう。
「まず電気とガスを同じ会社にまとめるセット割、契約アンペアの見直しなどで、一般家庭なら月2,250円ほど節約できるといわれています。また、通信費に関しては、携帯の普及で不要になった固定電話の解約も検討しましょう。スマホも格安料金プランへの変更がおすすめです。たとえばドコモの場合、利用可能データ量が1ギガ未満で十分なら、夫婦での加入で月額料金を1人あたり2,728円に抑えられます」
こうした工夫で、家計調査の通信費2万382円から1万4,926円の削減が可能だ。光熱費と合わせ、固定費1万7,176円の削減となる。
【冬は“1度下げ”の習慣で電気代を削減】
〈方法〉:エアコンの暖房を1度下げる。電気カーペットを「強」から「中」に変えれば暖房費を大きく削減可能
〈削減金額〉:月2,222円減
「資源エネルギー庁の資料によると、エアコンの暖房設定を21度から20度にするだけで、年間1,430円を節約できます。暖房利用時期は12月から2月までの3カ月ほどなので、1カ月あたり477円の節約が見込める。さらにフィルターを月2回清掃すると、年間860円(1カ月72円)の節約。また電気カーペットは『強』を『中』にすると年間5,020円の節約ですから、冬はひと月あたり1,673円の節約になります」
すべて合計すると、暖房代2,222円節約だ。 「インフレは続きそうで、節約生活も長期戦になる見込み。ストレスをためるよりも、楽しむ感覚で試してみましょう」
まずはコロナ自粛明けの年末を、楽しくお得に乗り切ろう!
※出費額は総務省「家計調査 世帯主の年齢階級別1世帯当たり1か月間の収入と支出」より、コロナ前の2019年12月「二人以上の世帯のうち勤労者世帯」の世帯主の年齢が「50~59歳」のものを使用。