アイスや冷凍食品など冷たいものを送る際や、夏場に生鮮食品を鮮度を保って送るために利用されることの多いクール便。寒さの厳しい雪国に送る際は常温で発送してもいいと思いがちだが、どうやらそうではないらしい。
先日「クール便」の意外な使い道に関するツイートが話題を呼び、12万件以上のいいねを集めている。
その投稿は、potikoさん(@potikochocolate)が、東北にみかんを送ろうとした際の体験を綴ったもの。
《東北の人にみかんを送ろうとして 宅急便の人「クール便ですね?」私「え?常温でいいです」宅急便の人「クール便で送らないと凍って腐りますよ?」と言われた時のカルチャーショック》
このツイートに対し《マジか》《…初めて知った》《クール便が保温 なんか矛盾》と驚きの声が続々と寄せられた。北国では気温の低さから、通常の宅配便で送るとみかんが凍ってしまうのだ。
potikoさんによると、みかんなど植物類は一度凍ると細胞に傷がついて菌の侵入が容易に。凍ったままなら美味しい冷凍みかんでいられるが、トラックの荷台などで気温が上昇して解凍されると菌が繁殖しやすい状態になり、場合によっては腐ってしまうこともあるという。
クール便でないと凍り、さらには腐ってしまう可能性もあるという驚きの事実。これは“雪国あるある”なのだろうか? 気象庁の全観測地点で今年1月の平均気温がマイナス気温となった青森県の人はこう語る。
「青森では、食材を一晩でも出しておくとキンキンに凍ってしまいます。ですから“生鮮食品をクール便で送る”というのはそんなに不思議なことではありません。青森では冷蔵庫は“保温器”という認識。凍ってしまうのを防ぐために食材は必ず冷蔵庫に入れるくらいです。だから冷蔵庫が大きかったり、一家に2台あったりもしますよ。高野豆腐のように、凍るのを逆に利用した料理もありますね」
暖かい地域とは、“寒い”の概念が大きく異なりそうな東北地方。そこで、雪国や寒冷地に食材を送る場合の注意点をヤマト運輸に聞いた。
「東北地方などでは日中でも外気温が氷点下になることがあり、お荷物の種類に関わらず凍結の可能性があります。その場合は、お預かりの際にその旨をご説明し、外気温に影響されにくい梱包をご案内することがあります」(ヤマト運輸担当者 以下同)
外気温に影響されにくい輸送方法のひとつがクール便だ。クール便とは温度を保って荷物を送るサービスで、冷蔵タイプは0~10℃、冷凍タイプは-15℃以下の温度帯を維持する。確かに、冷蔵便なら凍ってしまう心配はなさそうだ。
「ただし、お荷物を冷やしたり凍らせたりする冷却機能はありません。ですので、お荷物をお預けいただく前にお客様ご自身での予冷をお願いしています」
果物以外にも、花や野菜などの水分を多く含むものや、瓶や精密機器など温度の影響を受けやすい品物の場合は、外気温に影響されにくい梱包をしたほうがよいという。
「発泡スチロールを使用する、外装をエアキャップで巻く、持ち手などの穴を塞ぐ、などの梱包方法ですと外の気温の影響を受けにくくなります」
冬のみかんといったら段ボール……そんな常識は温かい地域限定かも。想像以上に厳しい寒さが広がる地域には、特別の配慮を忘れずに。