「子どもからのすすめで、ガラケーからスマホに買い換えたときに、長年使ってきたドコモから、別の業者のプランに替えたんです。料金は格安になると言われたのに、いつもどおり友達と長電話してたら、8,000円超の通話料が請求されてしまって……」
本誌読者の60代女性から、こんな悩みが。この女性は国内通話が月1,100円で「かけ放題」になるプランに加入していたが、無料なのは「1回あたり10分までの通話」という規約を見落としていた。10分を超える分は、30秒22円の料金がかかっていたという。
モバイル端末を所有している60~79歳の人のスマホ利用率は89.2%(’22年3月MMD研究所調査)と、シニア世代の多くもスマホを使用するようになった。
しかし、「“格安スマホ”にしたはずなのに、むしろ料金が高くなった」「相談窓口がなく、不便になった」という声もちらほら。
「スマホのプランにはそれぞれ特性があります。使い方によって、得になるプランは変わるのです」
そう語るのは、4年間の芸人活動と7年間の携帯電話ショップでの勤務経験を生かして、スマートフォンアドバイザーとして活躍しているモバイルプリンスさん。
現在、スマホのサービスを提供する会社・プランは、主に3つに分かれるという。
「まず、昔からあるドコモ、au、ソフトバンクという『大手キャリア』。電波をやり取りする独自の基地局を持ち、通信が速く安定しているのが特徴。その分、料金は高めに設定されています。最近は楽天モバイルも参入しました。次に、大手キャリアの基地局を借りている、いわゆる『格安スマホ』や『格安SIM』と呼ばれる会社。『〇〇モバイル』という社名が多く、料金は安いが時間帯によって電波が安定しないことも」(モバイルプリンスさん・以下同)
通勤帰宅ラッシュや昼休みなどに多くの人がスマホを同時に使い電波が混雑するときは、大手キャリアの通信が優先されるためだ。
「最後に、政府の“値下げ要請”で新しく生まれた『オンライン専用プラン』、ahamo(docomo)、povo(au)、LINEMO(ソフトバンク)です。大手キャリアの提供なので通信が安定していて、料金もかなり安いのですが、申し込みがWEB限定で、実店舗の窓口がなく、サポートが薄いという問題があります」
現在は「第5世代(5G)」の通信システムになっている。もうすぐ「第3世代(3G)」にしか対応していない機種は使えなくなり、3Gの通信プランも消滅してしまうという(auが今年3月末、ソフトバンクは’24年1月下旬、ドコモは’26年3月末まで)。
「勘違いされている方が多いのですが、いわゆる“ガラケー”であっても、4G対応のものはそのまま使用できるのでご安心ください。ただし3Gしか対応していない携帯を使っている人は、買い換えとプラン変更の必要があります」
【PROFILE】
モバイルプリンス
’87年沖縄県生まれ。お笑い芸人と携帯電話ショップ店員の経験を生かし、スマートフォンやインターネットの情報をわかりやすく伝える活動をしている。自治体の高齢者生涯学習講座などでも、スマホの使い方の講師を務める
(取材・文:インタビューマン山下)