■費用はいくらかかる?
【Q4】費用はいくらかかる?
「事業者によって違いますが、大きく3つのプランがあります。1つ目は、ご遺骨をお預かりして、ご遺族の代わりに散骨までを行う『代行委託散骨プラン』。費用は約5万円。散骨を行ったポイントの緯度・経度・時間を記録した散骨証明書を発行し、後日、散骨時の写真と一緒に郵送します」
2つ目は、数組の家族がクルーザーに乗船し、乗り合いで行う「合同乗船散骨プラン」。
「費用は約15万円。全体の約50%のご家族が利用されています。そして3つ目が、『チャーター散骨プラン』。1家族が船を1隻貸し切って、ゆっくり故人とのお別れをすることができます。これが約27万円です」
ちなみに、お墓を建てる場合は100万〜350万円(墓地代+墓石代)かかるといわれており、毎年の管理料も発生する。そう考えると散骨は費用負担が少なく、“子孝行”になると言えるかもしれない。
【Q5】遺骨はすべてまく?
「すべてをまいてほしいという方と、お骨の一部だけをまいて手元に残す方、両方いらっしゃいます。前者が大体4割を占めますね。あとに残る人がいないので、生前に“遺骨を残す必要はない”と遺言を残されたケースや、手元にお骨を残さなくても供養はできるという考えをお持ちのご遺族が多いです」
一方、全体の約6割の利用者が一部だけをまくそうだ。
「お骨のすべてを海にまいてしまうと、毎年海に向かって手を合わせるだけになり、寂しい。お仏壇や手元供養という形で、写真と一緒にお骨を少しだけご自宅に置かれる方が半数以上を占めます」
【Q6】個人でも行えるの?
「可能です。ただし、自治体によっては、散骨を規制する条例などもありますので、どこにでも自由に散骨してよいわけではありません。個人でお骨を粉砕してパウダー状にするのもなかなか大変だと思います」
また、火葬の過程において、がんの原因となる有害物質、「六価クロム」が遺骨に含まれるともいわれている。散骨による人体や、海洋環境への悪影響はないのだろうか?
「火葬時の設備や副葬品によっては、遺骨に六価クロムが含まれないケースもあります。しかし、当協会では人体や環境への危険性を考え、散骨するにあたっては、六価クロムを化学的に還元する薬剤を使い、環境基準の1リットルあたり0.05ミリグラム以下に無害化処理を行ってから、機械によってパウダー状にしております」
これまで無宗教の色合いが強かった散骨だが、最近ではお寺の住職が船に乗り込み、お経を読みながら散骨したり、音楽を流しながら行うスタイルまで登場しているという。
散骨が日本の葬送の主役になる日もそう遠くないのでは……!?