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最近、特定の地域で使える「デジタル地域通貨」が増えてきました。以前は紙の地域通貨が主流で、使い忘れや紛失、おつりが出ないなど使い勝手のよくない面もありましたが、今は○○ペイなどに似た決済アプリになって使い勝手も向上し、期間限定のプレミアム特典などをつけやすくなりました。

 

そんな「デジタル地域通貨」について、経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれましたーー。

 

■地元の活性化を狙い、地域でさまざまな取り組みが

 

岐阜県高山市、飛驒市、白川村で使える「さるぼぼコイン」は、PayPayなどが浸透する前、’17年に利用が始まったデジタル地域通貨の草分け的存在です。アプリにお金をチャージすることがさるぼぼコインへの換金とみなされ、店頭のQRコードを読み取って支払います。

 

ふだんはチャージ金額の1%を上乗せしてさるぼぼコインが発行されますので「現金より多少お得」ですが、7月6日~8月末は高山市プレミアム付き商品券「みんなで応援商品券」と連動。1万円で、1万5000円分のさるぼぼコインに1回換金できる、還元率50%ものプレミアム特典がつきます。

 

東京都世田谷区の「せたがやPay」でも「地元でつかって5%キャンペーン」が実施中です。6月末まで、月曜から日曜までに使ったせたがやPayの5%が、翌週水曜にまとめて還元されます。

 

また、神奈川県の「かながわPay」は7月19日から利用金額の最大20%がプレミアム特典として付与されます。特典は1人3万円相当までと、かなりお得です。 プレミアム特典をつけるキャンペーンは、新型コロナなどで疲弊した地域経済の立て直しが狙いです。大切なのは身近な地域でお金を使うこと。そうしないと、地域のお店が閉鎖に追い込まれ、自治体の税収が下がり、住民サービスの削減や劣化につながることも。デジタル地域通貨を活用して、身近な地域にお金が回る好循環を作りたいのでしょう。

 

珍しいところでは、特定の地域ではなく“観光地”の活性化を目指す「ルーラコイン」。兵庫県の有馬温泉や静岡県の下田温泉・伊東温泉など全国の観光地で、おもに観光客が利用します。使い勝手のよさで加盟店の売り上げをアップしながら、利用金額の1%を観光地に寄付する仕組みもあります。

 

ルーラコインも今は「プレミアムポイント山分けキャンペーン」を開催中。換金時に、チャージ金額の20%が上乗せされます。

 

また、ルーラコインを利用できる観光地は’22年中に30カ所に広がる予定ですが、同じように、これからデジタル地域通貨を導入する地域もたくさんあります。

 

7月22日から運用が始まるのは、福島県磐梯町の「ばんだいコイン」。東京都渋谷区や板橋区でも秋以降の導入を予定しています。

 

デジタル地域通貨はお得で地域経済の活性化にも貢献できますが、「お金が出ていく」実感が薄いのが玉にキズです。お得だからと羽目を外さず、きちんと管理して、くれぐれも使いすぎにご注意を。

 

【PROFILE】

荻原博子

身近な視点からお金について解説してくれる経済ジャーナリスト。著書に『「コツコツ投資」が貯金を食いつぶす』(大和書房)、『50代で決める!最強の「お金」戦略』(NHK出版)などがある

経済ジャーナリスト

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