「災害リスク」と「安い物価」で注目される「移住先としての群馬県」
画像を見る 群馬県の躍進ぶりに、ぐんまちゃんもビックリ!(写真:共同通信)

 

■災害面以外の魅力も…「物価が安いのに収入は高い」

 

【3】東京へのアクセスがよい

 

高崎駅から東京駅までは、新幹線で1時間かからない。デジタル化の進展、そしてコロナ禍でテレワークの普及が進むなか、都内への通勤と在宅ワークの両方があるというワークスタイルの人にとっては、群馬県の立地はよりメリットになるだろう。前出の櫻井さんによれば、群馬県出身の中曽根康弘元首相(故人)の在任時代、「群馬県に東京都の首都機能を一部移転させようというプランがあった」という。

 

「移転の構想が浮上した理由は、自然災害の少なさ(前述)のほか、新幹線をはじめ交通アクセスのよさなどでした。 当時、その計画は実現しませんでしたが、30年以上の時を経て、そのメリットが再び脚光を浴び始めたともいえますね」

 

【4】県民所得水準が高い

 

内閣府の県民経済計算によれば、’18年度の群馬県民の1人当たりの所得は328万3千円。これは1人当たりの国民所得の319万8千円を上回り、全国第8位とベストテン入りを果たしている。

 

「東京を囲む関東地方に位置していて、企業の誘致が全県で進んでいることも、群馬県民の所得が高い要因として考えられると思います」(鈴木さん)

 

群馬県内にある主な有名企業は、自動車のSUBARU群馬製作所本工場(太田市スバル町)をはじめ、半導体のアドバンテスト群馬R&Dセンタ(邑楽郡)、家電販売のヤマダデンキ(高崎市)など。さらには、メガネのジンズ前橋本社(前橋市)、作業服のワークマン関東信越本部(伊勢崎市)など、多くを数える。

 

「大手企業にとっては、土地代が安いことでコスト削減が達成できて、同時に社員が東京に出張する際の交通費も安く済む。そのぶんが賃金アップに充てられることになります。

 

県内の所得水準が上がることは、自治体、企業、住民と全方向にメリットとなるといえるでしょう」(櫻井さん)

 

街全体がリッチになれば、行政サービスなどのさらなる充実にもつながることになる。

 

【5】とにかく物価が安い

 

所得が多い一方で、消費者が買う商品の価格変動を示す「消費者物価指数」においては、群馬県の地域差指数は96.6(全国平均を100とした場合)。これは全国46位、つまり「下から2番目」となるのだが……。

 

「この物価の安さと、県民所得の高さ(前述)が群馬県のユニークな特徴です。つまり『群馬暮らし』イコール『コスパ抜群』ともいえるでしょう」(櫻井さん) 止まらない値上げラッシュが家計を苦しめるなか、この特徴は大いに魅力的だ。

 

【6】全国に誇る温泉地がある

 

源泉数が県内458本を数え、草津、水上、伊香保、四万と「4大温泉地」でも知られる群馬県。

 

「特に女性の方にオススメしたいのが、さまざまな効能の温泉をハシゴする“重ね湯”の旅です」(鈴木さん)

 

【7】さまざまな食材がそろう

 

「高原野菜の栽培や養豚が盛んな群馬県は、魚以外はおいしい食材がいつでも安く食べられる環境といえるでしょう。このあたりが物価の安さ(前述)の一因かもしれません」(櫻井さん)

 

安心・安全で高コスパ。数多くの“新しい魅力”に支えられ、群馬県は「都道府県別・移住希望地ランキング」(ふるさと回帰支援センター’22年2月発表)において、前年の10位から過去最高の5位に躍進を遂げている。コロナ禍で私たちのライフスタイルも変化しつつあるなか、群馬県による“魅力度ランキング最下位争いからの大逆襲”は、今後さらに加速していきそうだ。

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