“親友がいないのは不幸せ”か?『女性の品格』坂東眞理子さんが説く“思い込み”にとらわれない生き方
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【1】「~べき」から自分を解き放つ

 

「自分で納得していればいいんですが、“母親だから”“嫁だから”など、この立場だからこうすべきという思い込みはあるものです。私の友人の50代くらいの人でも、『親の介護をやらなければいけないから責任のある仕事には就かない』と言ってる人がいたんですが、本当にもったいない話。

 

一方で、別の友人である大会社の役員になった人はすごく忙しくて、母親を家で介護できなくなって施設に入ってもらったんです。それで施設に顔を出すのは週1回でも、1日2回は必ず電話をかけるそう。通勤途中に『朝何食べた?』とか、その程度のことでも『私のことをちゃんと考えてくれてる』とお母さんにとっては心の支えになっているようなんです。

 

“こうすべき、ああすべき”ではなくて、“この中で自分は何ができるのかしら”と考えると自由度が上がるんじゃないでしょうか」

 

【2】SNSだけでなく、書店や図書館へ

 

「SNSが恐ろしいのは、“あなた好みの情報をお届けします”と、同じような情報ばかりが目に入ってきてしまうこと。そうすると、どんどん深い狭い世界に入っていってしまう。とてもきちんとされている方が、ネット上の陰謀論を信じ込んでいるということも実際に私の周りであった話です。

 

ひとつの情報源に頼るのでなく別の情報の動きも意識する。新聞で見出しだけでも見る、いつもと違う人から話を聞く、別の分野の本を読む……。そういうことが視野を広げることになると思います。

 

本を読むにしても、好きなジャンルばかり読んでしまいがちですが、図書館で好きな分野でなくても知らない本を選んでみるとよいですね。そういう本は“面白くてたまらない”ということは少ないかもしれないけれど、世界を広げる読書になります」

 

【3】若い人に教えてもらう

 

「たとえば私はパソコンはあまり得意ではなくて、あきらめそうになることが多いんです。でも『いやいや』と思い直して、若い人にやり方を聞くようにしています。『お願い、やって』と頼んでしまったほうが楽かもしれませんが、これからの時代を生きていくうえでは自分でやれるのはとても重要ですからね。若い人にものを聞くのは恥ずかしいと思うかもしれませんが、知らないことはあって当然。教えてもらえばいいんです。若い人は説教されるのは嫌がりますけれど(笑)、教えを請われるのは嫌がらないものです」

 

【4】親友よりも、新しい友達を

 

「“親友がいないのは不幸せ”。これも一種の思い込みでしょう。そもそも親友に出会えるかどうかは運。運よく親友に出会えた人でも、少数の親友にしがみついていると境遇が変わったりして会えなくなる場合があると、ショックは大きくなります。しがみつくと相手にとって負担になることもあります。

 

だから親友とはいわずに知り合い、私のことを知ってくれている人がいれば十分。好意のある知り合いを数多く持っているというのはとても幸せなことなんです。仕事や習い事など、新しい場に行けば新しい出会いがあるはずですから、そこで“新しい友達”をつくってみてはどうでしょう。

 

そんなとき“自分の考え方や価値観がぴったり合う人”はそんなに多いものではありませんから、『同じように感じてくれない人は友達にはなれない』と切り捨てるのではなく、『へ~そうなんだ』と違ってるから面白いと考える心の柔らかさがあるといいと思います。

 

知り合いが多かったり複数のコミュニティに属していれば、たとえばママ友の仲間はずれになっても、ほかのグループがあるから平気と思えるのではないでしょうか」

 

【5】趣味がなければ、人の役に立つ

 

「60代70代の人たちが『もう年なんだから好きなことをしてのんびり暮らしたい』って言ったりするでしょう?

 

それも一世代前の“人生70年時代”の思い込み。まだ世の中のために役に立つことができるんじゃないか、私には何ができるんだろう、っていうふうに考えてみてはどうでしょう。

 

人は、自己実現以上に人の役に立っているということで満足感を得られるそうなんです。『役に立った』と喜んでもらったという機会を増やしたら幸福感が高まると思います」

 

坂東さんは、読者にこんなエールを送ってくれた。

 

「『女性自身』の読者の世代の方たちは、本当に力があるんです。でも、挑戦する前にあきらめている。立ちすくんで足を一歩前に出さないのはもったいないですよ」

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