マスクについて、自分の選択に自信を(写真:PIXTA) 画像を見る

《なんでマスクしてるんですか……?って全く知らん人に声かけられたんだけど。“マスクするな警察”マジでいるんだ》

 

3月10日、そんな驚きをTwitterに投稿したグラビアアイドルのRaMu(25)。

 

このほかにも、マスクを巡る投稿では、医療関係者の次のような悲痛なツイートも見受けられた。

 

《来院したノーマスクの患者さんにマスク着用を求めたら、『国が外していいと言っているのに強制するな!』と怒鳴られた……》

 

5月8日から新型コロナが季節性インフルエンザと同等の5類に引き下げられるのに先立ち、これまで政府が「屋内では原則着用」としていたマスクの使用が、3月13日から個人の判断に委ねられた。

 

これによって冒頭のように、マスクをつけている人に外せと言わんばかりの圧をかけたり、着用が推奨されている場所でもかたくなにマスクを拒否したりする“マスク外せ警察”が出没しているのだ。

 

「大前提として、政府は『マスクをするな』とは言っていません。内閣官房のホームページには、3月13日以降も、『重症化リスクの高い人への感染を防ぐため、医療機関や介護施設および混雑している公共交通機関などではマスク着用を推奨する』と記されています」

 

そう警鐘を鳴らすのは、在宅医療をはじめコロナ患者の診察もしている医師の木村知さんだ。

 

「マスクには、自分だけでなく相手の感染リスクを下げる効果があります。たとえば認知症の高齢者のように、マスクをつけるのが困難な方もいらっしゃいます。だからこそ、感染リスクの高い場所では、そうした方への配慮としてマスク着用が推奨されているのです」(木村さん)

 

■しぶしぶマスクをしてた人が「外せ警察」に

 

にもかかわらず、“マスク外せ警察”が出没してしまうのは、なぜなのかーー。

 

「コロナ禍の3年間、自分や他人のために進んでマスクをつけていた人と違って、強いストレスを感じながらしぶしぶつけていた人は、その鬱憤を晴らしたいと思っているのでしょう。ですからマスクをつけている人を見ると、攻撃的な気持ちになって“マスク外せ警察”になるのではないか」

 

そう分析するのは、東洋学園大学人間科学部教授で臨床心理士の鈴木義也さんだ。

 

「心の中で、〈まだマスクしているの?〉と思ったとしても、それを言葉や態度にして示す人は少数です。そんなことをするとハラスメントになりかねませんから。なのに、あえて言動で示す人は、相手を自分の思いどおりにしたいという強い支配欲が潜んでいるか、自分と異なる考えを想像することが苦手な傾向にあるかもしれません」(鈴木さん)

 

こうした“マスク外せ警察”が職場や身近なところにいた場合、どう対処したらよいのだろうか。鈴木さんと、前出の木村さんが対処法を教えてくれた。

 

【1】自分の選択に自信を持つ

 

「マスクをつけるつけないを決める権利は自分にあります。マスクをしていない人に口を出す“マスク警察”も、今回の“マスク外せ警察”も、人の領域にズカズカ入り込んでくる点では同じ。ただ大きく異なるのは、マスクをしない場合は人に感染させるリスクが高まるのに対し、マスクをすることでは誰にも迷惑をかけません。つまり、〈マスクをつけていて申し訳ない〉と思う必要はまったくないので、自分の選択に自信を持ちましょう」(鈴木さん)

 

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