この4月に値上がりする食品は5106品目に及ぶ。5月以降も4000品目の値上げが予定されており、物価高の終わりは見えない。
「原材料費の高騰、円安、原油高、物流や輸入コストの上昇などさまざまな要因が絡み合い食品価格へ反映されています。鳥インフルエンザの流行や飼料代の上昇を受け、4月は鶏卵や生乳と、これらを使った加工食品、ベーコンやソーセージなどの肉製品の値上げが目立っています。値上げの波は今年の後半までおさまらないでしょう」
そう語るのは節約アドバイザーの丸山晴美さんだ。夫婦2人の1日3食の食費が1年前(2022年3月)と比べてどのくらい上がっているのか。食材や調味料など食品メーカーの値上げ情報、農林水産省の食品価格動向調査などから試算してみた。
その結果、夫婦でオムレツとベーコンの朝食では122円も増加。パスタとツナサラダの昼食は88円、豚のしょうが焼きをメインにした夕食は146円と、1年前と比べて合計356円も原材料費が上がっていることがわかった。
「値上げ品目は広範囲にわたっており、似たようなメニューであれば、同程度の原材料費の上昇が予想されます」(丸山さん、以下同)
356円の支出増が1カ月続くと、10680円。1年続くと、総額はなんと約13万円に……。
「値上げの影響の大きい主食のひとつがパンです。さらに乳製品や卵、加工肉など、朝食でおなじみのものが軒並み値上げされた結果、値上がり幅が昼食より大きくなりました」
少しでも食費を抑えるには、どう対応すればいいのか?
「洋食よりも価格が比較的安定している米を中心にした和食を心がけることがポイントです。レトルトや冷凍などの加工食品は、加工度が高いほど値上がり幅が大きい。節約には自炊がもっとも効果的。パスタソースやドレッシングも食材や基本調味料を混ぜ合わせて作る工夫も大切ですね」
調理方法にもひと工夫が必要だ。
「食用油の値上がりは顕著です。たっぷりの油を使う揚げ物の代わりに鍋底から1cmほどの少量の油で調理できる“揚げ焼き”にするなどで対応しましょう。ただ、目くじらを立てて食費を節約しても長続きしません。物価高のピンチを家計や食習慣を見つめ直すチャンスととらえることが大切。私もベランダで野菜を育ててみたり、食品ロスが出ないような献立を組み立てたりとゲーム感覚で乗り切ろうと思っています」