――なぜ、登録者数が増えたのでしょうか?
「医療の進化により、病気の早期発見など、ご自身が医療のお世話になったから恩返ししたいという声を多く聞きます。また、家族の規模が小さくなったことも理由のひとつにあります。残ったお子さんに負担をかけたくない、またはお子さんがおらず、親戚に迷惑をかけたくないという思いを持つ方もあるようです」
――献体をすることで、どのようなメリットが生じますか
「献体を行う意義は、自らの遺体の提供によって、医学や歯学の教育・発展に参加し、次世代のために貢献できる点でしょう。献体をする場合、遺体を大学に搬送する費用や火葬費用などは、基本的に大学が負担します。献体をするための登録費用や、手数料なども不要です。自身の死後、家族の費用負担を少しでも軽くしたいという考えをもつ方もいるかも知れません」
――デメリットはあるのでしょうか
「通常ですと、提供後の遺体は人体解剖実習などに役立てられ、火葬→遺骨として1~2年、長い場合は3年以上掛かって遺族の元へ戻ってきます。そのため葬儀の日程が決めにくいとういのはあります。ですが、その間に気持ちの整理もつく、死後は色々と手続きが大変なので、いったんリセットができるという声もあります。また、葬儀はしない人も増えています」
――注意点を教えてください
「献体登録をするにあたり、下記は絶対要項となります。
■肉親の同意を得ておくこと
亡くなった時に連絡していただくためと、その後、遺骨を受け取るために必要。独り身である場合は友人、知人でも可。(※大学による)
■アイバンクへの登録もされる場合は申込先に問い合わせを
同時登録は可能ですが、並行しての献体は不可。死亡時にどちらかを遺族が選択することになるなど事前説明をしておくこと。
■申し込む大学・団体はご遺体の引き渡しを考えて、できるだけ居住地から近い場所を選ぶ
移送に時間を要する場合は対応不可。
また、登録しているご本人の亡くなられた状況や場所によってはお引き取りできないこともありうるので、大学での説明はきちんと理解していただくようお願いいたします。そして今後、献体は増え続け、登録できない可能性も生じてきます。ご意思を持たれている場合、早めに登録をお願いできればと思います」
「また、各大学では、医学の進歩発展のために献体された多くの尊い御霊に感謝を捧げるべく、公式行事として毎年慰霊祭が行われています」
世の中の役にも立つ、献体。新しい終活のスタイルとして、ぜひ家族で話し合ってみてはどうだろうか。
【申し込み】
日本篤志献体協会
http://www.kentai.or.jp/
