■ゴキブリは3万円、スズメバチは5万円程度が相場
では実際の害虫駆除トラブルにはどんなケースがあるのだろうか。
全国の消費生活センターに寄せられた相談内容をもとに構成した、4つの事例を紹介する。
【事例1】ネットで「500円」業者に依頼するも高額で……(20代女性)
深夜のゴキブリ出現にパニック、ネットで「約500円~」という広告を見て電話。「料金は1万円くらいになる」と言われたが、来た作業員には、約10万円の見積書と契約書を手渡された。「仕方ない」と思ってクレジットカードで支払ってしまった。翌日、管理会社の委託業者に見てもらうと「その業者は相場よりかなり高い」と……。
【事例2】勝手にどんどん進めて高額請求(30代女性)
深夜、ベッドの周りにゴキブリ。「約500円、追加料金なし」というサイトに電話。「基本料金約5千円」と言われ不審に思ったが依頼。訪問した作業員は「ゴキブリの卵もあった」「放置すると増えるので徹底的にやったほうがいい」「総額約15万円くらいになる」といってどんどん作業を進めてしまう。 中断を申し出てようやく中断してもらったが「作業した分の料金は払ってもらう」と約7万円請求された。払うよう強く脅され、ネットバンキングを使って支払った。
【事例3】「ハチに刺されて死ぬ」と言われ100万円で契約(50代女性)
庭に大きなスズメバチの巣を見つけ、サイト上で簡易見積もりしてもらうと「約700円~」と表示され依頼。実地調査では「このままではハチに刺されて死ぬ」「近所の人が刺されて死ぬと裁判になり大変な費用がかかる」と約150万円を請求されたうえ、「いまなら約100万円にする」などと言われたため、その場で契約してしまった。
【事例4】クーリングオフを申し出たが「できない」と(50代女性)
ネズミ駆除で「1軒5千円~」とネットに記載がある業者に見積もり依頼。「約13万円」と言われたが、不安が勝り、頭金5千円で作業してもらった。後日、別業者に見てもらうと、「素人の作業ではないか、約13万円は高額だ」と言われた。電話したが「クーリングオフできない」と言われてしまった。
では、私たちは悪徳業者に対し、どんな対策を立てればいいのか。
前出の京師さんに、国民生活センター相談情報部・樋口雄大さんと加藤良太さんが加わって、対策4カ条を教えてくれた。
【1】極端に安い価格に注意
「『基本料金500円』と書いてあっても、現場を見ないと業者にも料金はわかりません。少なくとも3桁台の料金表示には注意しましょう」(樋口さん)
【2】複数業者から見積もりを取る
「複数の業者から相見積もりを取れば、駆除の相場がわかってきます。しかし緊急時には慌ててしまいがちですので、何もない平常時に相見積もりを取っておくこと」
こう話す京師さんが害虫別の駆除の相場を教えてくれた。(地域差などがあるため相見積もりを取ること)
「毒性が弱いハチなら2万円程度、毒性の強いスズメバチは5万円程度。ゴキブリは3万円程度、ダニは10万~15万円程度です。 ネズミは5万~10万円程度。そしてシロアリは、床下や天井などの違いや家の大きさでも変わりますが、3万~15万円程度となるでしょう」
【3】クーリングオフを利用
「訪問販売の場合、契約書面を受け取った日から数えて8日以内ならクーリングオフ(無条件での契約解除)が可能です。作業が完了していても、作業の途中であっても、クーリングオフの対象になりえます」(樋口さん)
「クーリングオフ期間を過ぎても、解約できる場合もあります」(加藤さん)
【4】すぐ消費生活センターに相談
「少しでもおかしいと思ったら、自分だけで抱えず家族や友人、知人に相談を。全国共通の消費者ホットライン『188(いやや!)』にも電話しましょう」(樋口さん)
目の前の害虫より、コワいのが悪徳業者だと肝に銘じておこう!