「最近、クレジットカードで海外事務手数料の引き上げが頻発しています」
そう話すのは約130枚のクレジットカードを保有し利用するクレジットカードの専門家、菊地崇仁さんだ。
海外事務手数料とは、外貨でクレジットカードを利用した際の手数料のこと。
海外旅行先での利用のほか、国内にいても海外の通信販売サイトでの買い物などに上乗せされる。
「海外事務手数料の引き上げは、海外取引に関するコスト高のためと説明されていますが、真相はよくわかりません。手数料率低下などによる収益の低下を軽減したいのでしょう」(菊地さん、以下同)
たとえば三井住友カード(クレジットカード)はVisa・Mastercardブランドとも、2.2%から2024年11月以降は3.63%になる。
アプラスカードはJCBブランドが1.6%から2024年12月20日以降3.85%に、Visaブランドは1.63%から2025年1月7日以降3.85%になる。
同じクレジットカード会社でも国際ブランドによって手数料はさまざまなので注意したい。
たとえばアメリカで100ドルをクレジット決済したとき、日本円でいくら請求されるのだろう。
「VisaやMastercardなど国際ブランドが定める為替レートがあります。一般的な市場レートより若干高めです。それと海外事務手数料を掛け合わせて計算します」
国際ブランドの為替レートが仮に、1ドル=156円、海外事務手数料が3.85%の場合、海外事務手数料は100ドル×156円×3.85%=約600円。
請求額は100ドル×156円+600円=約16,200円となる。
仮に海外事務手数料が1.6%なら、100ドル×156円×1.6%=約250円だ。請求額は約15850円になる。
100ドルの利用で約350円の差がつくのだから、引き上げの影響は小さくはない。
年末年始に海外旅行に行く方もいるだろう。
円安の影響もあるなか、さらに海外事務手数料まで上がるなんて泣きっ面に蜂状態だ。解決策はないのだろうか。
「海外事務手数料が比較的安いクレジットカードを使う手があります」
「ただし、国際ブランドとしてのJCBはハワイなど日本人観光客が多い地域では問題ありませんが、それ以外の渡航先では使い勝手がいいとはいえません。
ダイナースクラブも同様で、だから海外事務手数料を抑えているのだと思います。
私のおすすめは、『Sony Bank WALLET』というデビットカードです」
Sony Bank WALLETは利用すると即時ソニー銀行の口座から引き落とされるカードだ。
渡航前に預金の一部を外貨に両替しておくと、外貨のまま引き落とされるという。つまり、海外事務手数料が不要なのだ。
米ドル、ユーロなど日本円を含む11通貨に対応する。
「また、プリペイドカードにも海外事務手数料のかからないものがあります。
JAL Global WALLETカードのMastercardブランド、Revolutカード、IDAREカードのVisaブランドです」
プリペイドカードなので事前入金が必要だが、手数料ゼロはありがたい。
海外事務手数料を考慮せずにクレジットカードを使う人が多いが、実は、地味に手痛い出費となる。
菊地さんおすすめのカードを駆使して、お得に海外旅行を楽しもう。