今年10月、郵便料金が値上げされ、はがきの料金が63円から85円と大幅に引き上げられた。最近、耳にすることも増えた「年賀状じまい」という言葉。翌年以降の年賀状の送付を辞退する旨を記した、最後の年賀状を出すことを意味する。郵便料金の値上げを受け、今年こそ年賀状じまいを決意する人も多いのではないだろうか。日本郵便も2025年用の年賀はがきの発行枚数を昨年より25%削減している。
とはいえ、長年続けてきた習慣を終わらせるには、やはり勇気がいる。年賀状じまいをすることで、相手に誤解や不安を与えてしまうのではないかと躊躇する気持ちも出てくるものだ。
「年賀状は新年を祝うだけでなく、普段なかなか会えない方や日頃お世話になっている方に感謝の気持ちを伝えるものです。そういった意味で、日常生活に季節感やぬくもりを届ける温かなやりとりです。とはいえ、時代の流れや年齢などで、準備が負担に感じることもあります。さまざまな事情で年賀状をやめるというのも、自然な流れなのかもしれません。
私のまわりでも『今年で最後に』という声を聞くようになりました」
こう語るのは、「All About」手紙の書き方のガイドを務め、手紙に関する著書も多く執筆する井上明美さんだ。
では、どのように年賀状じまいをすれば、送る側も受け取る側も気持ちよくその後の関係を続けられるのだろうか。年賀状じまいを伝えるタイミングや内容について、井上さんに話を伺った。
【1】年賀状じまいは早く送りすぎない
まず気になるのは年賀状じまいのタイミングだ。年賀状じまいを知らせるはがきを、年賀状とは別に早めに出したほうが相手によい印象を与えると思いきや、そうでもないようだ。
「年賀状じまいは、翌年からの年賀状を辞退することを伝える最後の年賀状を指します。ですから年賀状に記すのが一般的です。年賀状じまいとして早くに出す必要はないでしょう。また、年賀状とは別に年賀状じまいのはがきを送るのも、『わざわざ手間を取らせてしまって』と相手が恐縮してしまうかもしれません。相手に余計な心配をかけないという意味でも、いつも通りの年賀状の中で『年賀状辞退』を伝えるだけでも十分です」(以下、井上さん)
年賀状じまいのタイミングは、例年どおり年賀状を出すタイミングでOK。焦って早く伝える必要はない。
【2】年賀状じまいの文面は“プラスひと言”を意識する
では、肝心の「今年で年賀状をやめます」という内容は、どのように伝えればよいのだろうか。
「年賀状じまいに特に決まりはありませんが、あまり自分本位にならないように気をつけることが大切です。例えば、『〇〇の事情もあり恐れ入りますが』といった理由を書いたり、相手への気遣いを忘れないようにしましょう。また、年賀状をやめる場合でも、『これからも変わらぬお付き合いをどうぞよろしくお願いします』など、今後についてひとこと触れることで、今後もよい関係を続けたいという気持ちを伝えることができます」
やめる理由を詳しく書く必要はないものの、「〇〇の事情もあり」や「〇歳を迎え、年賀状の作成が困難になったため」といった簡単な説明があると、相手にも事情を理解してもらいやすい。
そこで、井上さんに、今後も相手と良い関係を続けられる「年賀状じまい」の文例を教えてもらった。