「“リフォーム”にお金がかかる家の特徴8つ」近年増加の“ペンシルハウス”には修繕時に落とし穴も
画像を見る 住宅の維持には定期的な修繕が欠かせない(写真:ノンタン/PIXTA)

 

■家は老朽化している15年に一度は補修を

 

ここまで介護リフォームにかかる費用を見てきたが、持ち家にかかるお金は、それだけではない。モリシタ・アット・ホーム会長で一級建築士の森下誉樹さんは、こう話す。

 

「新築した持ち家も、住み続ければ経年劣化します。特に、修繕に費用がかかるものとして、壁と屋根があります。周囲から目に付く壁ばかり修繕したがる方も多いですが、本来は壁と屋根は、同時に修繕することが望ましいです」

 

森下さんによれば、長く、安心して住み続けるためには「10~15年に一度は壁と屋根を修繕するのが理想的」だという。東京をはじめ人口が集中する大都市などでは土地の価格が激しく高騰している。そのため、狭い土地に建てた細長い住宅、いわゆる「ペンシルハウス」が急増している。

 

8月10日の日本経済新聞(日曜版)の報道によると、東京23区内で売りに出された戸建てのうち、敷地面積50平方メートル未満の戸建てが占める割合は、2018年は12%だったのが、2024年には16%と増加しているという。

 

今回、森下さんに同じ30坪(約100平方メートル)の住宅でも、平屋、2階建て、そしてペンシルハウスに多い3階建てで、どれくらい修繕費用が違うのか教えてもらった。

 

「同じ30坪の住宅でも、壁の面積は平屋が120平方メートル、2階建てが180平方メートル、3階建て207平方メートルと大きく異なります。壁の修繕費は、平屋で約100万円、2階建てで約150万円、3階建てで約180万円という試算になりました」

 

一方、屋根は階数が上がるほど、面積が狭くなるという。

 

「標準的なスレート瓦を張り替えた場合、平屋建てで110万円ほどになります。一方、3階建てなら、45万円ほどに。また、腐食しにくく、軽量で耐震性に優れたガルバリウム鋼板の屋根(ガルバ屋根)の場合、平屋で130万円、3階建てで55万円です」

 

ただし、2階建て、3階建てとなれば工事の足場設置費用がかかってくる。以上を加味した住宅の壁と屋根の修繕費は表のとおり。

 

「東京などの都心では、敷地が狭くて足場が建てられないなどの問題が出ることがあります。その場合、より工賃が高くなる可能性も。また、安価な住宅の場合、初期費用を抑えるために最上階の断熱が甘いことがあります。その場合、夏の暑さや冬の寒さが強くなり、不快なうえ、医療費などがかかることにもつながります」

 

せっかく手に入れた夢のマイホーム。老後も末永く住み続けるために、介護リフォームと修繕の費用は念頭に置いておこう。

 

画像ページ >【価格表あり】家の構造によって修繕費が大きく違う(他2枚)

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