4つの悲しい事例から見えてきた対処法を柳澤さんに聞いた。
【1】介護は親のお金でまかなう
介護はさまざまなやり方がある。親の年金や貯蓄が少なくても対応策があるので、ケアマネに相談を。子ども世帯に余裕があれば、支援するのは親孝行だろう。だが、子ども世帯の家計を破綻させてまで介護費用を負担する必要はない。
【2】「介護は実子」がスタンダード
「介護は嫁の仕事」は古い考え方。介護は男女に関係なく、子ども世代が抱える問題だ。「嫁だから」と背負い込むのはやめよう。
【3】介護離職はしない!
介護離職は、介護保険制度が始まった2000年に3万8千人だったが、2020年以降年7万人を下回ることがない。介護が苦しく、退職したほうが楽と思うこともあっても、自分の家計や老後資金を考えて。国の制度などを最大限活用して、介護離職は避けたい。
【4】成年後見制度を活用
「成年後見制度はめんどう」と言われることもあるが、認知症の人の生活をサポートし財産を守るために必須の制度。早めに準備を。
【5】世帯分離で介護費用を抑える
子ども世帯の多くは課税世帯のため、同居する高齢者は課税世帯員だ。世帯分離すれば、本人の収入しだいで住民税非課税などとなり、軽減措置を受けられることも。
【6】生活保護も選択肢に
自営業で国民年金しかない夫婦の、一人残された人など、親の年金や貯蓄が少ない場合は、生活保護も視野に入れて。
心を尽くして介護しても、子ども世帯に借金が残ることなど、親は望んでいないだろう。6つの心得を守って、経済的に共倒れにならない介護を続けよう。
画像ページ >【試算あり】介護に要した費用(公的介護保険サービスの自己負担費用を含む)(他6枚)
