「『ふるさと納税』は、好きな自治体に寄付できる制度。その最大の魅力は、お礼として自治体から送られてくる返礼品です。これまでは男性目線のものが多く、どうしても肉や海産物が目立っていました。しかし最近になって、洗剤や化粧品など日用品をそろえる自治体が急増。家計を助けてくれたり、女子力をアップさせるものなど、女性目線の品物も充実してきています」
そう語るのは、自身も「ふるさと納税」を活用している税理士の眞喜屋朱里さん。’08年にスタートした「ふるさと納税」。初年度に集まった寄付金は約72億円だったが、年々注目度が高まり、’16年の寄付金は3,500億円になる見込み。これは’15年の実績の2倍以上!人気の秘密を探ってみると、その理由が見えてきた。
【1】主婦目線の返礼品が充実!
家庭で日常的に使う消耗品を返礼品にしている自治体が増えているという。
「2万円の寄付で届く約半年分の洗濯洗剤『アリエール』(岐阜県七宗町)や1万円の寄付で送られてくる96個の『トイレットペーパー』(岐阜県池田町)は助かりました。日用品を買うお金をランチに回せるので、主婦にとってはとてもお得です。そして何よりうれしいのがお米。全国の自治体が競うように銘柄米を返礼品にしています。相場は1万円の寄付で20キロほど。しかも、一度に大量にお米が届くのではなく、年に数回に分けて届けてくれる定期便もあります。主婦にとっては心憎いサービスです」(眞喜屋さん)
「ふるさと納税」で得た食品のみで家族4人で生活している達人・金森重樹さんも、こう語る。
「玉ねぎやじゃがいもなど同一の野菜だけが大量に届き、食べきれないこともあったのですが、最近は、いろいろな野菜が少しずつ入ったセットものの返礼品が増えています。また、肉や魚などの食材もいいのですが、共働き家庭や主婦が手を抜きたいときに助かるのが、ご当地名物の加工品。1万円の寄付でもらえる『美唄焼き鳥セット』(北海道美唄市)や『ふっくらとろける蒲焼(特大)』(福岡県福智町)は、調理不要で長期保存も可能なんです」
【2】大手家電メーカーの製品が返礼品に!
肉や魚、野菜といった食材が多い返礼品だが、このところ増えてきた家電製品も見逃せない。
「寄付金額はそれなりに上がりますが、長野県伊那市ではダイソンの家電が用意されていて、15万円で空気清浄機、20万円でロボット掃除機が返礼品として選べます。3万円の寄付で手に入る炊飯器(静岡県小山町)などは、還元率(コスパ)も高いといえるでしょう」(金森さん)
眞喜屋さんもこう語る。
「家電メーカーの城下町だったり、製造工場があったりする自治体では、家電が“特産品”になります。私も今年は電化製品を選ぼうと思っていて、今はベランダ掃除のために5万円の寄付でもらえる『高圧洗浄機』(広島県府中市)を申し込もうか検討しているところです」
【3】“行って楽しむ返礼品”が人気に!
さらに最近、じわじわ増えてきたのが、寄付先の観光地などでの宿泊券や施設利用券。
「神奈川県湯河原町の『宿泊ギフト券』は還元率が寄付金額の50%。宿泊施設でしか利用できませんが、湯河原温泉は質の高い旅館が多いので、けっこうな頻度で利用しています。また宿泊券よりも還元率がいいのが、ご当地の商店やレストランで使える金券。『かつうら七福感謝券』(千葉県勝浦市)は1万円の寄付金で70%の還元率。加盟店もどんどん増えて、ますます便利になっています。住んでいるところの近くや、行きたい自治体の返礼品に金券や感謝券があれば狙い目です」(金森さん)
なかには「1日町長体験」(福岡県みやこ町・寄付金額100万円)や「日帰り人間ドック」(奈良県生駒市・寄付金額15万円)なども。
「現地に行って、新鮮な魚介類を味わうツアーや、いちご狩り、田舎暮らしなど、地元体験型の返礼品も要チェックです」(眞喜屋さん)