「生きづらい」「働きづらい」―――。こうした、悲鳴にも似た声を耳にすることが増えつつある。
一昔前にはみんながあたりまえに享受されうるべきとみられていた「普通」の生活すら送ることが難しくなりつつある。官民を問わず、この問題をなんとかするべくさまざまな議論がなされているが、未だ解決の道筋がはっきりとは見えてこない。
そんな中、「風俗で働く」という選択肢を選ぶ人が増えているというのをご存知だろうか?
性風俗店で働く女性の支援を行う一般社団法人GrowAsPeople代表・角間惇一郎氏の著書『風俗嬢の見えない孤立』によると、風俗の仕事を始める理由と続ける理由の多くを「生活費」「学費・奨学金返還」「借金返済」が占めているという。「仕事がない」「就職が決まらない」などの回答も多い。
また仮にそこそこ稼げていたとしても、いずれ肉体的限界がやってくるそうだ。
同書によれば、風俗嬢のキャリアの長さはアスリートのキャリアと似ているという。加齢とともに、出勤できる日数が減っていくごとに収入も目減りする。風俗嬢の仕事はその多くが日払いであり、出勤日数が減ることがそのまま収入の減少に直結している。
こうして大部分のアスリートが40歳を手前に引退していくように、風俗嬢の多くは40歳を前に「おおっぴらに人に言えるキャリアもなく、充実した履歴書が書けない」として身動きが取れなくなる。そして社会的に孤立する―― 同書ではこれを「風俗嬢の『40歳』の壁」と読んでいる。
20代女性の20人に1人が風俗店で働いた経験を持つと言われている現在、こうした女性たちへの社会的支援は不可欠になってくるのではないだろうか。もう決して他人ごとではない。