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SNSによって新名所となったモネの池(岐阜県関市)

 

「今年のツアー旅行のキーワードは『インスタ映え』や『SNS映え』。思わず写真を撮りたくなるスポットを組み込んだツアーがマストです」

 

こう話すのは、旅行ジャーナリストの村田和子さん。これまでの日帰りツアーは、「+ショッピング」が定番セットだったが、最近は、SNSで話題のフォトジェニックなスポットを多数組み込んだものが主流。年齢を問わず“インスタ映え”のツアーから売れていくという。

 

また、ランチも昔のような食べ放題は減り、格安ツアーであっても思わず写真に撮りたくなる美麗な料理が出てくることが多くなったそう。

 

「絶景や美しいランチに加え、フルーツ狩りや本格的なウオーキングをするツアー、紅葉を見ながら写真撮影法を学ぶツアーなど、プラスアルファの選択肢の幅も広がりました。これだけ充実した内容でも、1日1万円以下のツアーが豊富にそろっています」(村田さん)

 

名古屋発の“1万円以下日帰りツアー”なかで、村田さんが推薦するのが、クラブツーリズムの「紅に山燃ゆる『香嵐渓』と通称『モネの池』 圧倒的なキラメキ なばなの里イルミネーション」。香嵐渓となばなの里の両方が楽しめる。

 

「さらに、SNSによって新名所となった“モネの池”に行けるのもうれしいですね。モネの絵画の『睡蓮』の池にそっくりと評判で、インスタグラムで一気に広まった話題のスポットです」(村田さん)

 

同ツアーの開始日は、紅葉とイルミネーションに合わせた11月中旬。とはいえ、村田さんイチ押しとあってはこのツアーは外せない。取材班はひと足先にレンタカーを借り、ツアーと同じコースを回ることにした。

 

10時30分に名古屋駅を出発し、東へと車を走らせること約1時間半。到着した香嵐渓は当然、まだ紅葉には早いが、都会より一段冷たい空気が秋の訪れを感じさせてくれる。風にざわざわと揺れるもみじの葉音、そしてさらさらと流れる清冽な川音を聞きながら歩を進めると、木々の中から香嵐渓のシンボルである待月橋の姿が立ち現れた。朱色の橋と紅葉、これはエキゾチック&フォトジェニック! 思わずスマホを取り出し、橋の上から渓谷の風景を何枚も撮影してしまう。

 

ひとしきり撮影した後は、絶景の中、木陰でランチ。ツアーと同じく栗おこわ弁当をいただいた。自然を堪能しながら食べるお弁当は、格別においしかった。

 

愛知県の香嵐渓を後にし、次に向かうは岐阜県。美濃関物産館に立ち寄った後は、美濃の市街地から板取川沿いに上流へ40分ほど遡る。次の目的地の「モネの池」は、この地域の氏神を祭った「根道神社」の参道にある。もともとは、名もなき池。’15年秋にメディアで取り上げられるようになると、あまりの“モネっぽさ”にSNSで一気に拡散されたという。瞬く間に新名所となり、今やグーグルマップ上にも「通称モネの池」と表示されるほどだ。

 

一目見て、驚いた。エメラルドグリーンの水面に、睡蓮の葉が浮かぶ池。その中を、大きく鮮やかなニシキゴイが悠々と泳いでいる。陽光を受けて水面が七色に輝くさまは、モネの絵画『睡蓮』そのもの! まさに“写真に撮りたい景色”がそこにあった。撮った写真を、記者もさっそく自分のインスタグラムにアップ。この写真についた「いいね!」は180件。インフルエンサーでもなんでもない“ふつうの人”な記者のインスタグラム史上、最高記録であった。

 

次は、岐阜県から三重県桑名市、なばなの里へ。ツアーでは、イルミネーションと夕食を各自楽しむ。640億色(!)という水上イルミネーションがここの目玉ながら、今はまだやってない(10月中旬開始予定)。なばなの里はフラワーガーデンとしても有名なので、今回は「ベゴニアガーデン」へ。夕食は、7つのレストランから好きな店を選び自由にとる(ツアー料金には含まれない)。記者は迷わず、施設内の醸造所で作られた地ビール「長島ビール園」へ。できたてビールを片手に、たっぷり350グラムのステーキを堪能し、すっかり大満足。

 

終了地点の名古屋駅まで(シラフのカメラマンが)車を運転し、到着したのは20時40分ごろ。3つの観光名所が愛知、岐阜、三重と3県をまたぐため、全行程の走行距離はおよそ270キロに及んだ。自分で移動するにはハードな距離だが、バスツアーなら乗っているだけなので、超ラクちん。この内容で、8,000円でお釣りがくるとは! 最近のバスツアーは、かくもお値打ちなのであった。

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