楽しく、幸せなねことの暮らし。でも、不調やトラブルは突然やってくる。そこで、猫専門医の服部幸先生が、悩みをズバリ解決する「にゃうにゃう猫生相談」!今回も、悩めるねこからこんな相談が届いた……。
【Q】「はじめまして。サビ柄の5歳、元気いっぱいのオスねこです。僕はいつも、決まった場所でゴロゴロして背中を床にこすりつけています。場所は玄関と階段の踊り場。とくに決めているわけではないですが、なんか気になってついつい同じ場所に。どうして?」
【A】「縄張りの境界線をアピールしているのかも」(服部幸先生)
ねこによって何かしらの理由があるからでしょうから、このコに聞いてみないとわかりませんが(笑)。ひとつ考えられるのは、自分のにおいをつけることで、縄張りの境界線をアピールしているのかもしれません。ねこにはにおいをつける習性があり、背中をこすりつけるのも、その表れのひとつです。
野生の世界では、食事を確保するために縄張りを作りますが、メスは食事が確保されていれば、縄張りをある程度シェアできる傾向があります。でもオスにとっては、メスをつかまえるための場所でもあるため、オスのほうが縄張り意識が高く争いも多いです。野良ねこを見ていると、複数のねこで日々変わっていく縄張りの境界線を争っていることがわかります。室内でも、複数飼いをしていれば、仲のよしあしにかかわらず、いろんな場所に、においをつけ合っていることもあると思います。
においを感じる性能のひとつ「嗅覚受容体」を人間は約1,000万個、ねこは約6,500万個持っています。ねこのほうがはるかに嗅覚が優れているため、もしかしたら何か気になるにおいがするのかもしれないですね。玄関は毎日違うにおいが入りやすい場所でもあるので、知らないにおいがイヤな可能性も。単純に人間のにおいが気になってしまうコもいます。ねこは優れた嗅覚で、獲物や食事、外敵などを判断しているのです。