2010年に厚生労働省が行った調査では、40代女性の3人に1人はめまいを自覚していた。春先に頭がクラッという経験は誰でもあるだろうが、原因はさまざまだ。中には重病のサインだったりするものも。東京医科大学病院耳鼻咽喉科教授の鈴木衞先生にポイントを聞いてみた。
「特に女性で多いのは”良性発作性頭位めまい症”、といった耳の病気が原因のもの。また、起立性低血圧”やダイエットのしすぎによる貧血なども多く見られます。これらはめまいのなかでも比較的軽いもので命に関わることはありません」
怖いのは脳の病気が原因で起こるめまいだ。緊急を要するのもので、早めに処置をしないと死に至ることもあるという。
「脳梗塞や脳出血といった脳の病気ほど、処置が早ければ早いほど助かる確率は高くなります」(鈴木先生)
そこでめまいの種類に注目してみた。まず、足が地についていないようにフワフワと体が揺れる〈浮動性めまい〉。症状は軽くても長時間続いたり繰り返し起きる。耳の病気のほかに自律神経失調症、更年期障害、生活習慣病など。脳の病気としては脳梗塞、一過性虚血発作のことも。早めに受診を。
次に、急に回りの風景がグルグル回りだし目が回ってしまう〈回転性めまい〉。突然起きるので立っていられなくなり、嘔吐を伴うことも。良性発作性頭位めまい症、前庭神経炎、メ二エール病の可能性も。脳の病気の心配もあり医療機関の受診を。
そして、よろよろしてつまずき歩くことも困難になる〈動揺性めまい〉。小脳や大脳に支障があるために起きるめまいで、舌のもつれ、手足のしびれなどを伴う。聴神経腫瘍、一過性虚血発作、椎骨脳底動脈循環不全などが原因。怖いめまいなので要注意だ。
最後に、急に立ち上がったとき頭がクラクラして立っていられない〈立ちくらみ〉。脳に送られる酸素が一時的に減少すると起こる。自律神経のバランスの乱れ、自律神経失調症や起立性低血圧、貧血が原因。危険性はないが生活習慣の改善を。
「特に注意してほしい危険なめまいは、めまいとともに『激しい頭痛や吐き気がある』『舌がもつれる』『物が二重に見える』ことです。すぐに神経内科や脳神経外科の受診を受けてください」(鈴木先生)