女性を悩ませる更年期。女性ホルモン・エストロゲンの減少は、のぼせやイライラといった不快な症状、肌の老化、骨密度の低下など、さまざまな不調となって現れる。

 

しかし、同じ更年期でもある体質によって、不調の出方がまるで違うのだとか。その鍵を握るのが「エクオール」。腸内でこれを作れるかどうかが更年期の美と健康を左右するといい、最近では40〜50代女性の間で、簡易測定キットが密かなブームになっているという。

 

気になるその働きについて、食品の機能性に詳しい愛知学院大学の大澤俊彦教授に聞いた。

 

「エクオールとは、大豆イソフラボンの一種ダイゼインが、エクオール産生菌という腸内細菌の力を借りてできる代謝産物のことです。そもそも大豆イソフラボンは、エストロゲンに似た構造のため、女性ホルモンのような働きをすることで知られています。しかし、エクオールはそれ以上にエストロゲンと似ているため、より、その働きが活性化されるのです」

 

つまり、同じように大豆を食べても、エクオールが作れるかどうかでその働きにも差が出てくるという。具体的にはどういうことなのか?測定キット「ソイチェック」を開発したヘルスケアシステムズの代表取締役・瀧本陽介さんが解説してくれた。

 

【1】更年期症状が軽くなる

「更年期の女性46人を、更年期症状が重いグループと軽いグループに分けて尿検査をおこなったところ、症状が軽い人にはエクオールを作れる人が多かったという報告がありました

 

【2】骨粗しょう症の予防

「閉経後の女性44人を2グループに分け、片方の22人にだけ、毎日豆乳をとってもらった実験では、豆乳をとっていない人たちは2年間で骨密度が平均4%減少したのに対し、豆乳をとっていた人たちの骨密度は増加するという結果が報告されました。なかでも、エクオールを作れる10人の骨密度は平均で2.4%も増えており、豆乳は飲んでいたがエクオールは作れない12人の平均増加率0.6%と比べても、4倍の差があったのです」

 

【3】シワの改善

「エクオールを作れない女性101人を3つのグループに分け、それぞれにプラセボ(偽薬)、エクオールのサプリメント10ミリグラム、30ミリグラムを12週間投与。すると、プラセボ群は目尻のシワが深く広くなったのに対し、エクオールを投与された群は、量が増えるごとにシワの進行が抑えられました」

 

【4】乳がんの予防

「そもそもエストロゲンは、血液中のエストロゲン受容体と結びついて、そのチカラを発揮します。エストロゲンが過剰になりすぎている場合は、数あるエストロゲンの中の何割かが、エクオールに置き換わり、受容体と結合。エストロゲンに比べてエクオールの作用は穏やかなので、抑制につながるのです」

 

そのほか、悪玉コレステロールを減らしたり、動脈硬化や糖尿病の予防も期待されるエクオール。男性に対しても、薄毛や前立腺がん予防に期待がもたれているという。

 

美容と健康が気になる方は、一度チェックしてみては?エクオールが作れないという場合でも、今年からサプリメントが販売されているので、ご安心を。

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