「現代社会では、肉体の疲れよりも、精神的な疲れや、パソコンやスマホの使いすぎによるIT疲れが多い。その結果、頭蓋骨にこりがある人がほとんどです。私の患者さんでも、こっていないのは100人中1人くらい。頭蓋骨のこりは、歯ぎしりはもちろん、頭痛、肩こり、眼精疲労や睡眠障害の原因となる。これを解消することで、多くの疾患が改善します」
そう語るのは、指圧マッサージと鍼灸で2万人以上もの体をほぐしてきた、『ストレスとりたきゃ頭蓋骨をもみなさい』(アスコム)の著者、寺林陽介先生(43)だ。
「頭蓋骨と頭皮の間には、重要な筋肉が多くあります。ストレスを感じると、頭蓋骨の筋肉は、ギュッと収縮し、血流が一気に悪くなり、硬くなってしまうのです。特にこりやすいのが、両サイドのこめかみから耳の周辺の筋肉である『側頭筋』。この筋肉はあごの筋肉と連動しているので、歯ぎしりは側頭筋に過大な負荷をかけます。その結果、側頭筋が硬くなり、萎縮してしまう。すると、さらに歯ぎしりがひどくなるという悪循環が起きるのです」
さらに、物思いや悩みが多いと、“眉間にシワがよる”というように、おでこの筋肉である「前頭筋」がこり固まる。デスクワークなどで頭を酷使すると、首や肩、背中の筋肉につながっている後頭部の筋肉「後頭筋」がこりやすくなるという。
そこで、寺林先生が「頭蓋骨マッサージ」を教えてくれた。まずは、「知っておきたい頭のツボ」から。
【あ門】
襟足の首の骨にあたるツボ。頭のだるさ、首のこりを改善。
【天柱】
あ門から左右に指を1本分ひらいたツボ。自律神経のバランスを整える。
【風池】
天柱から左右に指を1本分ひらいたツボ。血行の促進、肩こりなどに効く。
【完骨】
風池から左右に指をさらに1本分ひらいたツボ。肩や首のこりをほぐす。
【太陽】
こめかみのツボ。目の痛みや充血に効く。
【和りょう】
もみあげの下にあるツボ。あごの疲労、耳鳴りや眼精疲労を改善。
【角孫】
耳のすぐ上にあるツボ。頭痛や眼精疲労に効く。
【率谷】
角孫から側頭部に上がったところにあるツボ。頭部の血行をよくする。
次にマッサージ法。
【1】耳の上マッサージで側頭筋をほぐそう
両手で握りこぶしを作って、薬指と小指の第二関節を耳の上に押しあてる。頭蓋骨を揉むように、上下にぐりぐりしながら10数える。その後、約3センチずつ上に握りこぶしを移動し同様に揉む。
「頭痛や眼精疲労に効く『角孫』と、頭部の血行をよくする『率谷』を刺激することで、側頭部のこりがほぐれて、ストレスの解消や、食いしばりと歯ぎしりの改善が期待できます」(寺林さん・以下同)
【2】こめかみを揉んで、目の疲れを取る
手のひらの下、少し盛り上がっている部分をこめかみの下にあてる。後頭部に向かって、10回円を描くように揉む。今度は、手をこめかみのくぼみに移し、同様に10回。
「あごの疲労を改善させる『和りょう』と、目の疲労を改善させる『太陽』のツボを刺激します」
【3】後頭部を揉んで、自律神経を整える
握りこぶしを作り、小指の付け根を後頭部の耳の下「完骨」に押しあてる。10数えながら左右に細かく動かす。それを「完骨」「風池」「天柱」「あ門」の順に後頭部の真ん中に近づけていく。
「自律神経のバランスを整える「天柱」。そして、頭痛と首や肩こりを改善するツボを刺激します」
【4】頭を温めリラックス
最後はこすり合わせて温かくした両手で、側頭部を覆い深呼吸する。
「目を閉じて、1分間リラックスしましょう。以上4つの過程で1日3分。歯ぎしりも改善されるでしょう」
あなたも、頭蓋骨を揉んでストレス社会を乗り切ろう!