「目の不調は、病気や体調の悪化を知らせるサイン。見逃してはいけません」
そう語るのは、スマイル眼科クリニックの岡野敬院長。
「目は体の中で唯一、血管が赤くしっかり見える場所です。また、白目は色の変化もすぐにわかります。目の状態に変化があれば、体の状態が変化しているサインです。皮膚にも症状が現れますが、日焼けや皮下脂肪のせいで目視しづらいため、いちばんわかりやすいのが目なんです」(岡野先生・以下同)
岡野先生は、患者の目の状態から糖尿病、高血圧症、甲状腺の病気、自律神経の乱れまで、さまざまな病気を発見してきたという。そこで今回は、自分でチェックできる「目に現れる病気のサイン」を詳しく教えてもらった。
まずは“あっかんべー”をして、下まぶたの裏の色をチェックしよう。
「健康なときのまぶたの裏は、中トロマグロのような薄いピンク色。ここが白い場合は鉄分不足です。貧血を起こしやすくなるので、レバーやほうれん草など鉄分の多い食品を食べるよう心がけましょう」
次に、白目の色を確認。赤くなっていたら、ストレス過多の疑いが。この状態が続くと、心身にさまざまな不調が出てきてしまう。ストレスの原因を突き止め、取り除こう。
白目が鮮やかな黄色になっている場合は、肝臓系の病気の可能性がある。
「明らかに黄色くなっていたら、すぐに内科を受診してください。ただし、みかんを大量に食べている人は、みかんの成分が白目にも出てきている場合もあります」
さらに、まぶたのむくみを確認しよう。寝起きにむくんでいる場合は問題ないが……。
「一日中まぶたがむくんでいる人は腎臓の不調やアレルギーの可能性があります。内科での検査をおススメします」
最後に、黒目の状態をチェック。まずは黒目のふちに白い膜がかかっていないかを確認して。
「黒目のふちに白い膜があるときは、過食、運動不足、喫煙などの不摂生で体が悲鳴をあげている証拠です。規則正しい生活をし、病気を未然に防ぐよう心がけましょう」
さらに、40代以降の女性に多いのが、瞳孔の形の変化。黒目の中の部分が、円ではなくなっている場合がある。
「自律神経が乱れると、瞳孔を収縮する神経がうまく働かず、楕円形やクローバーのような形に収縮するようになります。更年期のホルモンバランスの乱れが大きな原因です。40代以降でイライラやだるさなどを感じているなら、更年期障害の可能性が。婦人科や内科を受診し、薬を処方してもらうと楽になりますよ」
気づいたら至急病院へ行くべき、重大な病気も目に現れるという。まず、「寄り目」ができるかを確認してみよう。
「寄り目ができない場合は、バセドー病など甲状腺関連の病気の可能性があります。目を上下左右に自由に動かせないのが典型的なサインです。早期治療が大切なので、早めに外科を受診しましょう」
次に、黒目の脇、そしてまぶたの裏をチェック。
「目頭側の黒目の脇に薄いピンク色の膜が張っている場合は、翼状片という病気の可能性が。放っておくと乱視が進み、視力がどんどん落ちます。これは手術で治ります」
ピンク色の膜がまぶたの裏にでき、薄く盛り上がることもある。
「まぶたがむくみ、めくったところに膜ができている場合は、リンパ腫(血液がん)の可能性も。目の周囲に膜ができていたら、すぐに眼科を受診しましょう」
突然、部分的に視野が欠けたり、片目だけが見えなくなったりした場合は、何をおいてもすぐに眼科へ向かおう。
「血栓症の疑いがあります。症状が出て24時間以内なら元に戻る可能性が高く、48時間以内でも症状の改善が望めます。それ以上放置すると、視野欠損や片目を失明する恐れも。眼科へ急行しましょう」