3月に入ると、南風が吹いて20度近いポカポカ陽気の日があるかと思えば、翌日は冬に逆戻りするというように、寒暖の差が激しくなる。特に一日の最高気温と最低気温の差が10度ほどになる日は、体温調整が難しくなり、冷え性の人は、肩こり、腰痛、食欲不振、めまい、頭痛といった症状を起こしやすくなる。
「心臓疾患、脳血管障害など命にかかわる症状を起こしやすい冬に比べて、春は重篤な症状を起こす病気は多くありません。しかし、新しい生活が始まり、生活リズムが変わることで、ストレスを受けやすくなる。頭痛やめまいなど、『仕事を休むほどではないけれど、調子が悪い』といった、体調不良に見舞われることが多いのです。また、高齢者は外出先で足を取られて転倒することもあるので、桜がきれいだからといってよそ見しないで(笑)、足元にも気をつけましょう」
そう語るのは、『「正しい時間の使い方」が、あなたの健康をすべて左右する』(東洋経済新報社)の著者で、石黒クリニック(岐阜県岐阜市)の石澤源之院長。
ゴールデンウイークを過ぎるころになると、さらに気温が上がり、それに伴って、熱中症や食中毒などにかかりやすくなる。また、紫外線量が増えると免疫力が低下して麻疹(はしか)や風疹といった感染症にかかることもあるので、要注意だ。
風疹は、患者の7割が大人の男性で、近ごろは職場内で集団感染するケースも多い。感染してもほとんどの人は1週間から10日で回復するが、妊娠初期の女性が感染すると子どもに難聴などの障害が出る恐れがある。
『新装版 小児科医ママの「育児の不安」解決BOOK』(内外出版社)の著者で、さくらが丘小児科クリニック(東京都世田谷区)勤務の森戸やすみ医師が言う。
「特に東南アジアなどに長期滞在した人が感染して、国内に持ち込むケースが最近は多発しています。予防接種法で風疹のワクチンが男女ともに定期接種となったのは1979年4月2日生まれから。生まれた年代によって、ワクチンを接種していない世代があります。自分や家族がどの世代に入るか、確認しましょう」(森戸医師)
一度も予防接種を受けていない38歳11か月以上の男性と、55歳11か月以上の女性は感染するリスクが高まる。また、予防接種を受けてから時間がたつと、再びかかることもあるという。
麻疹(はしか)は、現代の先進医療を受けたとしても、1,000人に1.5人が死亡する恐ろしい感染症。ワクチンが定期接種になったのは、’79年10月から。それ以前生まれの人で、今まで麻疹にかかったことがなければ、感染のリスクが高まるので注意が必要だ。
水痘(水ぼうそう)は、水痘帯疱疹ウイルスによって起こる。厚生労働省によると、日本では年間100万人が発症し、4,000人程度が入院。20人程度が死に至るという。’14年10月から、1歳の誕生日の前日から3歳の誕生日の前日まで定期接種が始まった。
「感染症の定期接種の時期がわからないときは、小児科医に相談してください」(森戸医師)