更年期障害は卵巣から分泌される女性ホルモン・エストロゲンの減少が原因。うつや不安、のぼせ、冷え、めまいなどさまざまな体調不良を引き起こす。お年ごろの女性にとっては深刻な悩みゆえ、ホルモン剤などの薬を使う人も多い。でも、病気ではないのだし、できれば薬に頼りたくない……。
そんな願いをかなえる画期的な方法を今年3月、長崎大学大学院教授の篠原一之先生が発表した。女性の心や体に影響を及ぼすエストロゲンの分泌をアロマの刺激で促せることを発見したのだ。本誌6月6日号の記事でもエストロゲンを分泌するアロマの利用法を紹介した。その後の篠原先生の研究で、さらに効果的にエストロゲンの分泌を促す成分が発見された。
「アロマは複数の成分の集合体。エストロゲン分泌を促す成分のみを抽出したほうがより効果的です。そこで、さまざまなアロマから単一成分を抽出して実験した結果、効果的な2つの成分が判明しました。リナリルアセテートとリナロールという、ラベンダーに含まれている成分です」(篠原先生・以下同)
実験では、更年期世代と20~30代の女性グループ両方に20分間、リナリルアセテートとリナロールの香りをかいでもらい、体内のエストロゲン量の変化を記録した。その結果、更年期世代のみに分泌の増加がみられた。
「若い人には影響がなく、更年期世代のみ数値が上がったのは画期的な発見でした。加齢によって卵巣からのエストロゲン分泌が低下すると、副腎からの分泌の割合が多くなります。香りをかぐことで、副腎からの分泌が促されると予想されます」
老化した卵巣の代わりに、まだまだ働ける副腎に指令を出す……この作用を目覚めさせてくれるのがリナリルアセテートとリナロール。
「ラベンダーに含まれている成分ですが、残念ながらラベンダーオイルそのものをかいでもエストロゲンは分泌されませんでした。配合の比率によっては、効果が低くなってしまうこともわかりました」
そこで、篠原先生の監修のもと、香料会社が篠原先生の発見した成分をベストの配合で使用できる商品の開発に着手。ローズに含まれる香り成分などを加え、更年期世代の美と健康をもたらすアロマミスト「Estrogina」を完成させた。
ハンカチに含ませて持ち歩けば、イライラやホットフラッシュの症状がスーッとやわらぐのを実感できるそう。更年期に悩むアナタ、ぜひ試してみてはいかが。