きれいに治して再発させない「乳がん手術」の”神の手”名医6人
「悪性腫瘍の場合、たんに成功率だけ上げようとするなら、広範囲に取ってしまえばいい。しかし、乳がんと立ち向かう医師の場合はそれではダメなんです」と話すのは、聖マリアンナ医大助教授を経て、現在は神経内科医および作家として活躍する米山公啓さん。
年間新規発症数が4万人を超え、日本人女性の20人に1人がかかる『乳がん』。その専門医のなかには再発させないだけでなく、術後の患者の精神面を考え、できるだけきれいに手術をすることができる”神の手”を持つ名医がいると米山さんは話す。そこで、今回”神の手”を持つ6人を米山さんに教えてもらった。
中村清吾先生【昭和大学医学部乳腺外科教授】東京都
「中村先生の生涯手術件数は5千例と聞いています。これだけの経験を積んだ医師は日本にはいないはず。手術の技術はやればやるだけうまくなる。とにかく術数をこなすことなんです。その点でも中村先生はピカイチ」
川端英孝先生【虎の門病院乳腺・内分泌外科部長】東京都
「東大医学部から東大関連病院を歴任して、現場で技術を磨いてきた先生。’09年のデータでも手術件数は年間200以上。これだけやれば腕はどんどん磨かれます」
相良吉厚先生【相良病院】鹿児島県
「相良病院は鹿児島の民間病院でありながら、乳がんの年間手術件数が500を超え、毎年、全国ベスト3に入っています。その中心的人物が相良先生。これまでに30年間で診てきた乳がん患者は4千人。まさに地方の孤高の名医です」
加藤誠先生【加藤乳腺クリニック】滋賀県
「加藤先生は乳腺内視鏡手術によるきれいな乳房温存術を開発。これにはがんの早期発見が欠かせませんが、乳腺クリニックということで、検診とオペが直結している利点を最大限に生かしている。昨年、関西で乳がんの年間手術件数第1位になっています」
佐武利彦先生【横浜市立大学付属市民総合医療センター形成外科准教授】神奈川県
「最近、乳房全摘術後の再建手術が急激に進歩していますが、形成外科でも乳房再建術だけをここまで追求したのは佐武先生をおいてほかにいません。耳の軟骨を土台に太ももの皮膚を巻きつけて乳首を作るなど、ほかの医師にはマネのできない技術です」
酒井成身先生【国際医療福祉大学付属三田病院】東京都
「乳房再建術では酒井先生も有名です。酒井先生は糸の縫い目のきれいさで定評があります。縫い目というのは手先の器用さが一目でわかり、医師の技量が出やすいんです」