1987年以前のマンションは要注意! 水道水の以外な落とし穴
水道水の品質をチェックするうえで大切なのが「大腸菌」。大腸菌は「検出されないこと」が基準値となっている。大腸菌がゼロということは、それより塩素に弱いコレラ、赤痢、チフスなどの菌も死滅していることを意味するからだ。現在は技術が発達し、ろ過や消毒に加え、オゾン処理・生物活性炭処理などを行う『高度浄水施設』も増えている。その結果「日本の水道水は世界一安全」とまでいわれているのだ。しかし、それは浄水場に限っての話で「浄水場からの水が、家の蛇口にくるまでが問題なんです」と語るのは、水界環境学が専門の、加藤季夫・國學院大學教授。
ひとつめの問題は、集合住宅などの貯水槽。加藤教授は「全体の3割ほどの貯水槽は、きちんと清掃されていないといわれます。錆だらけになっており、藻が生えたり虫の死骸が浮いていることも」と指摘する。もうひとつの問題は、家までの排水管。1987年に禁止されるまで、ここに「鉛」が使用されていたのだ。
「鉛は、少量でも長期にわたって摂取すると、貧血や脳神経系の障害、生殖障害を起こします。1987年以前に建てられたマンションには、鉛の水道管が今も残っているかもしれません。また一戸建てでは、家の敷地の前までは新しい水道管に変わっているかもしれませんが、敷地内の工事は個人負担ですから、そこに鉛の水道管がそのまま、というところもあるはずです」(加藤教授)
それでは、安心して水道水を飲むにはどうすればいいのか。加藤教授に聞くと「水が流れていれば、鉛はたまりません。夜など、4~5時間以上、水道を使用していない間に、鉛がたまっていくのです。ですから不安を感じる人は、朝、出したばかりの水道水を飲むのはやめましょう。最初のバケツ1杯分程度は、洗い物や掃除など、生活用水に使い、たまった鉛を流すことです」とのことだ。また、最近ではミネラルウオーター派の人も増えているが、ここにも落とし穴が。
「マグネシウムの含有量が多い硬水は、胃腸に負担がかかるので、赤ちゃん、子供さんの摂取は控えましょう。乳幼児には硬度10ミリグラム(1リットルあたり)以下のものにしてください。また水道水は50項目のチェックがありますが、ミネラルウオーターは19項目で、有害物質のホルムアルデヒドはチェック項目に含まれていません。実際、2003年にミネラルウオーターからホルムアルデヒドが検出されたことがあります」(加藤教授)